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TMのヘヴィーメタルレジェンド『Vol.1/マイケル・シェンカー』

TMのヘヴィーメタルレジェンド
Vol.1/マイケル・シェンカー

1-1.マイケル登場!

マイケル・シェンカーは1955年1月10日にドイツ、ハノーバーの傍にあるヒルデスハイム、ザールシュテッドに生まれる。兄のルドルフとは7才離れていて、ルドルフがバンドを始めたのが16才、その時マイケルは9才だった。サッカーボールを追っ馳け廻る毎日から一転したのは、兄ルドルフから貰った誕生プレゼント。「フライングV」マニアの兄から貰った「ギブソン・フライングV」をきっかけにギターリスト・マイケルが誕生する。わずか11才でボーカリストのクラウス・マイネ(後のスコーピオンズVo)と組んだバンドThe Innovatesで兄ルドルフの出演するクラブでバンドデビューを果たす。それからマイケルはバンドをCry、Cry Express、Copernicusと変えながらギターリストとしての頭角をみせる。そんなマイケルを15才の時に兄ルドルフが彼のバンドScorpionsにリードギターリストとして合流させる。この頃わずか7日間で作り上げたというデビューアルバム「恐怖の蠍団-Lonesome Crow」が1972年にリリースされた。

「狂熱の蠍団 - I'm Going Mad」
http://youtu.be/VoAwzo5Whfo
当時はサイケ全盛だったのか、およそスコーピオンズを知っている人ですら同じ彼らの作品とは思えない音作りとなっている。原題からは想像もつかないような和題が楽しい。

「悪魔の血が騒ぐ時 - Lonesome Crow」
http://youtu.be/brGjdc43DAE
中では一番ロックしているのがこれ。良質なプログレで、これはこれで素晴らしい。


1-2.UFO時代1

UFOは1969年8月にフィル・モグ(Vo)、ミック・ボルトン(G)、ピート・ウェイ(B)、アンディ・パーカー(Ds)のバンドとしてスタートした。メジャーデビューしてリリースしたアルバムUFO1、UFO2は本国イギリスでは受けなかったものの日本やドイツでは人気がありツアーを行っていた。そんな彼らが1971年日比谷野音でUFO単独初来日公演を行う。ライブが大成功してハメを外してしまったのか、同日来日中のレッドツェッペリンの面々にサインをもらいに行くったことが露見し、それを知ったファンに大きなショックを与えてしまう。今じゃ考えられないけど、当時はUFOも大スターだったわけで、それなりの振る舞いが必要だった。そんな事もあってUFOのギター、ミック・ボルトンが脱退。ドイツ公演でUFOのオープニングアクトとして出演していた駆け出しのスコーピオンズからマイケルがその代役として演奏したこともあり、結局、口説き落とされて1973年6月に正式にUFOのリードギターリストとして迎えられる。そのマイケルが全面的に関わった名盤「現象」が1974年にリリースされる。このアルバムの中に「Doctor Doctor」や「Rock Bottom」と言う不朽の名曲が収録されている。

UFO.Live Japan 72..wmv
http://youtu.be/NGETxNEmi2c

Doctor Doctor
http://youtu.be/FwNOmS78q-o

Rock Bottom
http://youtu.be/aP5ikQpTR3c
 

1-3.UFO時代2

「現象」リリース後にセカンドギタリストとしてフィル・モグがポール・チャップマンをつれてきた。ポール・チャップマンは後期スキッドロウ※のギターリストで、スキッドロウでもUFOでもスーパーギタリストの代役として苦労する悲運のギターリスト。フィルが多重録音のアルバムの再現をライブで試みるって言うんだけど、マイケルはポールの参加を歓迎しない。結局ポールはライブのみでの参加で僅か数ヶ月でバンドを離れる。4枚目のアルバム「フォース・イット」をリリース。このアルバムではキーボードをフューチャーしていてチック・チャーチルにアルバムでは弾いてもらっていて、じゃあライブでもキーボードがということでダニー・ペイロネルを加入させる。このアルバムでUFOの人気が確実なものになる。

Let It Roll
http://youtu.be/yB8S_luXiWU

Shoot Shoot
http://youtu.be/ZL4YxnfTLKo


※補足
スキッドロウはブラッシュ・シールズ(B)、ノエル・ブリッジマン(Ds)、フィル・ライノット(Vo)を中心としたバンドでギターはダブリンの幾つかのバンドで弾いていたバーナード・シーバスが参加していた。1967年9月のギグが最初で、翌年の9月にシーバスが正式に脱退することを受けて入れ替わるように入って来たのが若干16才のギターリスト、ゲーリー・ムーアである。このムーアが1971年に脱退してシンリジーに合流、ポール・チャップマンがギターリストとして参加。バンドは1972年に解散した。

New Faces,Old Places
http://youtu.be/OmRLVBywEeM


1-3.UFO時代3

ノー・ヘヴィー・ペッティング

キーボードが入ることで音楽的な豊かさが増した。キーボードとは言っても、音色はピアノで、ギターとの相性も良く全体的に聴きやすいポップな感じが生まれている。マイケルはこの明るい感じに違和感を感じてダニー・ペイロネルを切ったが、このアルバムは彼のおかげでマイケルも激しさを増していて、単にポップ化した訳ではない良さがある。「I'm A Loser」
はそんな全てが詰まった傑作ではないかなと感じている。このアルバムは全編を通して曲としてのバランスが高い。

電撃のロックンローラー
Can You Roll Her
http://youtu.be/uuDQAGL3eyY

Highway Lady
http://youtu.be/zhnKb3s7-HM

A Fool In Love
http://youtu.be/OF3W9AY4_Sc

I 'm A Loser
http://youtu.be/vL_FaUhwYuA
 

1-3.UFO時代4-光と影

新たなる殺意-Lights Out

ダニーの穴をギターとキーボードの両方出来る奏者ポール・レイモンドで埋める。バンドはストリングスを入れて、よりポップな路線に歩を進める。英語が出来ず、メンバー間のコミニケーションに難を抱えるマイケルが失踪したのがこのバンドが絶頂にあるこの時であった。ライブツアーはポール・チャップマンに代役を務めさせて乗り切る。

燃えたぎるギター-Too Hot To Handle
http://youtu.be/v3HhHdcPSZc

Love To Love
http://youtu.be/hIBhwWbviFw

Lights Out
http://youtu.be/aatjerFCRP8



宇宙征服-Obsession

バンドは毎年アルバムを出してライブに出るサイクルを繰り返していた。マイケルも、このアルバムを作成する時期に舞い戻り、アルバム作成に協力する。しかし、そこからまた長い長い失踪を経て脱退となる。そんなマイケルの精神的な不安定さに反比例するかの如き、楽曲の質、ギターの演奏は素晴らしい。苦悩すればするほどそのギターは光を増す。なんたる皮肉か。そこに神と言われる所以があるのかもしれない。孤高のギターリスト、マイケル・シェンカーの世界観がこのUFOの5枚のアルバムに凝縮されている。正に名盤。

Only You Can Rock Me
http://youtu.be/Zu9IJpjMeIg

Look'n Out For No.1
http://youtu.be/la7eAaak-nY

Hot'n 'Ready
http://youtu.be/BZd8adgXodQ


1-5.神復活! MSG結成

僕の中では圧倒的にマイケル・シェンカーと言えばMSGであって、それ以外ではなかった。やはりこのUFO脱退から復帰後のマイケルの弾き方がベースだった。何一つ奇を衒う事なく圧倒的なサウンドでガンガン来る所がマイケルのギターのたまらないところ。
オジーがソロを始めた時みたいに、マイケルも一旦廃人になってから何とか人間に復帰出来た記念すべき作品。メンバーはゲーリー・バーデンしかいなかったけど、通りすがりのメンツが結構な仕事をしていたし、あるがままのサウンドで発表されているので、これが最高だった。それにしてもゲーリーは・・と言うのはあるけど、インスト曲が多いし、ギターは最高なので。
The Michael Schenker Group
神(帰ってきたフライング・アロウ)

マイケル・シェンカー(G)
ゲーリー・バーデン(Vo)
モー・フォスター(B)
サイモン・フィリップス(Ds)
ドン・エイリー(Key)

Armed And Ready
http://youtu.be/obyz6zj-8mw

Cry For The Nation
http://youtu.be/_koU1OrSt_4

Into The Arena
http://youtu.be/3Sj48Mamh1o


1-6.紆余曲折の布陣1

■神話(MSG)
メンバーが集まる。
マイケル・シェンカー(G)
ゲーリー・バーデン(Vo)
クリス・グレン(B)
ポール・レイモンド(Key)
コージー・パウエル(Ds)

メンバーが良くて、楽曲も良い。しかしサウンドが最低。コージーが叩いているのにドラムがショボくなっているのは何かの手違い?スタジオアルバムは良くないけど、ライブは良いので、PVはライブ盤でいきましょうか。
Never Trust A Strangerのサビ部分はガンズのNovember Rainにちょっと使われていますね。
単に似ているだけか?

アメリカ市場を狙って、UFOの経験からロン・ネヴィルソンにプロデュースを依頼する。確かにUFOでは成功したのに、MSGでは・・、アメリカ市場はなかなか難しいようです。

Ready to Rock
http://youtu.be/EEkCMItvI9A

Never Trust A Stranger
http://youtu.be/uvwzN-7mCfk



■黙示録(Assault Attack)

マネージャーにピーター・メンチが参画してバンド内の改造が行われる。一番最初に切られたのがプロデューサーのロン・ネヴィルソン、そしてボーカルのゲーリー。コージーがグラハム・ボネットを連れてきたにもかかわらず、一悶着あってコージーは脱退。マイケルのヤク中に呆れてポールも去った。結局、プロデューサーにアイアンメイデンのナンバー・オブ・ザ・ビーストを手がけたマーティン・バーチ、ボーカルにグラハム・ボネット、ドラムにテッド・マッケンナ、キーボードにトミー・アイアーと言う新しい布陣となる。

コージーは残念だったが、サウンドは最高の出来になった。グラハムが良い味出している。
じゃあ、アメリカは?と言えば平行線。

Assault Attack
http://youtu.be/I0bbDDVCPhg


1-7.紆余曲折の布陣2

■限りない戦い- Built to Destroy

レディングを前に珍事が起こり、グラハム・ボネットがバンドを脱退する。急遽、ゲーリーが呼び戻され、レディングでボーカルを担い、そのまま4枚目のアルバム制作を行う。マネージメントの関係で新たにテッド・ニュージェントのデレク・セント・ホルムズ加入が要請される。デレクはテッド・ニュージェントでリードボーカルだった為、マネージメントがゲーリー外しをねらっての加入だったようだが、結局、マイケルのヤク中に付き合うことに嫌気がさして、デレクの方が脱退。
日本やイギリスのウケは良いが、アメリカチャート100以下という惨敗となり、マイケルと揉めてゲーリーも脱退、事実上のバンド休止状態となる。

Chaptain Nimo
http://youtu.be/qBWRELywD3w

Still Love That Little Devil
http://youtu.be/-vaAMwGIze8

Rock Me Nights Away 
http://youtu.be/8YzJ_z0_R98


1-8.傑作ライブ

バンド活動休止のため、ライブ盤を出すことになった。「Rock Will Never Die」はイギリスのハマースミスオデオンでのライブを収録している。
ゲーリー・バーデンの荒削りな声とデレク・セント・ホルムズの澄んだ安定感のあるハイトーンボイスがあって、デレクも悪くないなと思ったりする。デレクとゲーリーが歌うところなんかゲーリーが音外し過ぎてどっちがリードボーカルか分からないので可哀想なんだけれど、そんな中でもゲーリーならではの声の味はあると最近は思える。昔はボロカス言ってたけれど。

グラハム・ボネットは上手いけど、癖があるし、好き嫌いが分かれる。それも慣れなのだけれど、並べて聴くと明らかに違ってグラハム上手い〜ってしみじみしちゃう。そんな違いをみていくと深いな〜と思う。

しかしマイケルのギターはいつ何時でも、フロントマンが誰だろうが完璧に弾き倒す。本当に素晴らしい。まじで神!

「Built to Destroy」はスタジオアルバムが地味に聴こえるんだけど、このライブ盤で聞くと良さが感じられる。地味にはかわりないのだけれど。

ドクター・ドクターでスコーピオンズチームが飛び入りするのが楽しい。ドクター・ドクターってメイデンぽいよね。NWOBHMだと言われたらそう思うよ。

Rock Will Never Die 1983
http://youtu.be/3uUGakIBSkk


1-10.アメリカへの想い

休止期間3年、マイケルがバンドを解体してまで求めたのはアメリカでの成功。拠点をロサンゼルスに移してロビン・マコーリーと新しいバンド、マコーリー・シェンカー・グループを結成する。略称はM.S.G.と同じだが、まるで別物と考えたほうがいい。誰もがゲーリーから他のもっとマシなボーカルに変えた方が上手くいくと考えた。しかし、そう上手く行かないのはこの「パーフェクト・タイミング」を聴けば明らか。もはや同じバンドが作ったものには感じられない。

前4作まではUFOから培ってきたマイケルのサウンドが常に進化していた。マイナーなコード進行で織り成すシェンカーらしいサウンド、それがマイケルの真骨頂。しかし、このアルバムにあるのは?「5150」時代のヴァンヘイレンか、ジャーニーやエイジアあたりの産業ロック的なグラマラスなサウンドプロダクション。マイケルの憂いのある独特のサウンドはここにはない。それがアメリカ攻略のための絶対条件と言わんばかりに。

音楽としてポップさを増してギターのボリュームを絞って、うまいボーカルを強調すれば、アメリカで成功できる。そんな簡単じゃないとはわかってはいるけれど、そんな考えにしがみつくしかない。Show Must go on.今はやらなきゃ生きてはいけない。フィル・モグがいたUFO時代、ゲーリーやコージーが先回りして進めてくれたMSG初期時代。必ず事を進める誰かが傍にいた。今はもう・・誰もいないのだから。


1-11.新しい仲間と作る

アメリカ人のパートナーとしてロビン・マコーりーと活動を共にする。アメリカ西海岸ロサンゼルスに住むボーカリスト。彼と夢の実現の為に手を組んだ。そのためにロサンゼルスに移住もした。サイドギターリストとしてビリー・シーンのTALASから来たギター、ミッチ・ペリー、インギーばりのテクニックを持つ業師、ベースのロッキー・ニュートンとキーボード兼ギターのスティーブ・マンはライオンハートからながれてきた。作曲は彼らが基本的にこの2人が積極的に進めている。新天地で新しいバンドの音が鳴る。待望のアメリカでの大いなる期待にむねを膨らませながら「パーフェクト・タイミング」がリリースされた。

ロビン・マコーリー(Vo)
マイケル・シェンカー(G)
ミッチ・ペリー(G)
ロッキー・ニュートン(B)
ボド・ショフ(Ds)
スティーブ・マン(Key&G)

Gimme Your Love
http://youtu.be/Pk70v-JctA8

新しいサウンドを受け入れた新しいファンがいる。製作がアメリカをベースとしていて、チームもアメリカだ。マイケルも、皆んなで楽しめるものにと言うことで出来たのがこの「パーフェクト・タイミング」だ。そんな新しいバンドとして捉えるファンにとっては今まさに起こっているLAメタルの端くれとして充分満足のいく内容のアルバムだった。


1-12.新たな課題

マイケル・シェンカーを知るファン、マイケル・シェンカー・グループの流れとして期待していたファンがいたこと。そこをまるで意識から忘れていた。マイケルのファンにとって、「パーフェクト・タイミング」は全く受け入れないものであった。

新しいファンの様になんの先入観も無く聴ければ、音楽としては決して悪くは無い。サウンドとしてはいまだかつてないくらいの出来になっている。プロデューサーのアンディ・ジョーンズも当時のLAメタルとして快作を作ったと言う自負はあっただろう。この前にプロデュースしたシンデレラの「ナイトソングス」よりは上手くいっていたんじゃないのかな。そんな渾身の作品が振るわなかった。

先行シングル「Gimme Your Love」はロビンとロッキー・ニュートンの曲である。曲としてのバランスをみすぎてギターの音を絞りすぎている。マイケル・シェンカーと言う冠がついている以上、皆、ギターの音に期待している。当たり前じゃないか。意外なところに伏兵が潜んでいたものだ。


1-13.マイナーチェンジ

Save Yourself

前作ではマイケルのギターがほとんど聴こえないため、旧来のファンから敬遠された。そこで全般的にギターサウンドを前面にうちだしたのが本作。前作から変わったところはそんなところか。いや、よく見ればシェンカーのクレジットが少ない。
Save Yourself、Bad Boys、Shadow of the Night、What We Need、There Has to be Another Wayがマイケルとロビンの共作。マンやニュートンの楽曲を大々的にフューチャー、したのがこの「Save Yourself」のもう一つの特徴となる。
さすがにシングル「Save Yourself」では元来のファンは熱くなったが、代表曲「Anytime」、「This is My Life」のシングル2曲の作曲にマイケルが絡んでいないと言う事実。相変わらずの王道のポップチューン。シェンカーファンからしたらまだまだ物足りないマイナーチェンジだった。それでもマコーリーは不満だっただろう。

Save Yourself
http://youtu.be/9BQk0sEAYVY

Anytime
http://youtu.be/8hvBfZosPKo


1-14.

七作目にまたセルフタイトルを付けてリリースされた作品。マコーリー・シェンカー・グループとはこう言うサウンドなんだと言わんばかりのバラエティ豊かな内容になっている。そこが決定的な違和感の理由でもあった。そもそもが相容れない融合だったということがまざまざと突き付けられたのがこのM.S.G.である。

M.S.G.

ロビン・マコーリー(Vo)
マイケル・シェンカー(G)
スティーブ・マン(G)
ジェフ・ピルソン(B)
ジェームス・コタック(Ds)
ジョシュ・ホルムズ(Key&G)

そのサウンドはモトリークルーの亜流。ヴァンヘイレンの明るさをシェンカーに求めたのは正しかったのか。ドッケンで活躍したジェフ・ピルソンがベースで参加しているのでもっと違った変化を期待していたが、・・そのミックスされたサウンドはあまりに薄っぺらく、普通だった。そもそもこれをマイケルがやる意味があったのか。そのすべての批判がマコーリーに集中する。自分が頑張れば頑張るほど、マイケルから離れ、ファンから嫌悪される。二律背反の苦しみに陥るマコーリーを見て、マイケルは決断する。マコーリーとの共同作業はアンプラグドを最後に終了することを。

Paradise
http://youtu.be/3ZF1Rz4oq8o


1-15.UFO再び!

UFOは1978年にマイケルが脱退してからも活動を続けた。しかし1983年で一度解散し、再度1984年に復活させるも1987年に再度解散となった。
しかし、ピートとフィルは1992年に再再結成に向けて活動をする。失意のマイケルも、自分のオリジンを見つめ直す良い機会としてフィルらに合流し、新たなる殺意 - Lights Out時代の黄金期メンバーが揃った。そして1994年、ツアーに出た。

UFO REUNION 1994
http://youtu.be/QqIoJQwpopU

フィル・モグ(Vo)
マイケル・シェンカー(G)
ピート・ウェイ(B)
アンディ・パーカー(Ds)
ポール・レイモンド(Key)

そして曲は少ないけど新作を発表した。
「Walk On Water」1995年にがリリースされた。

Walk On Water
http://youtu.be/uj6dpOq-Zzs

当時、マイケルはアンプラグドにはまっていて、「ヴィーナス」や「ストップドゥ・バイ・マイ・ブレット」ではアコースティックギターが使われている。それにしても一曲目の「ア・セルフ・メイド・マン」のギターには度肝を抜かれたし、ピートの曲「ノック・ノック」では涙がこぼれる。僕らはこのギターを待っていたのだよ。


1-16.束の間の至福

UFOは新しいアルバム「Walk On Water」を引っさげてワールドツアーに出る。しかし例によってメンバーとマイケルの間で諍いが始まる。結局、ツアー中途でマイケルは離脱、ツアーはなんとか最後までマイケル抜きで行うが、終了後、UFO名義の使用権利云々もあり空中分解。至福の時は長くは続かずにUFOは終了した。

マイケルはスウェーデンのボーカリスト、リーフ・スンディンを迎えマイケル・シェンカー・グループを再結成する。ベースはインギーのThe Seventh Sign Tourに参加していたバリー・スパーク、ドラムはB'zの「Big Machine」「The Circle」に参加していたシェーン・ガーラス。

マイケル・シェンカー(G)
リーフ・スンディン(Vo)
バリー・スパーク(B)
シェーン・ガーラス(Ds)
クロード・ガーデット(Key)

Written In The Sand
https://m.youtube.com/playlist?list=PL94gOvpr5yt2jRzeYF7djg9YscNB3lduS


1-17.ブルースへ

「リトゥン・イン・ザ・サンド 」はポール・ロジャースに似た声を持つボーカリスト、リーフがブルージーな楽曲を歌い上げるアルバム。楽曲として悪くはないが、特にこれがと言うものがあるわけではない。時間をかけて聴きこむと良さが分かってくるような類の楽曲なのだろう。ブルースってそう言う音楽じゃないか。このアルバムの終わりに「Into The Arena」「Cry For The Nations」と言うMSG初期の名曲が収録されている。最後にヒット曲を収録する構成はまるで「Walk On Water」と同じだが、こちらは新曲が地味な分、寂しさが残る。

その後
「The Michael Shenker Story Live」と言う二枚組ライブ盤をリリースした。日本の中野サンプラザで行われたスコーピオンズからUFO、そしてMSGを総括するマイケルの歴史がそこにきざまれている。

Michael Schenker Group - Live In Tokyo 1997
http://www.dailymotion.com/video/xltwak_michael-schenker-group-live-in-tokyo-1997_music


1-18.ルーティン

Story Liveも始めの欧州ツアーではリーフ・スンディンが帯同していたのだが、アメリカツアーには参加が出来ず、クリムゾン・グローリーのデヴィッド・ヴァン・ランディングがボーカルを取ることで残りのツアーをこなす。アルバム、ライブと毎年繰り返されるルーティンをそのそれぞれ異なるボーカルが担当することになる。

そんなMSGの活動と並行して、UFOの活動も再開する。UFOのシングル集「Time To Rock」としてA面、B面の計40曲の編纂をマネジメントから依頼され実行するが、結局、マイケルの関わっていない時代をも含むUFOの集大成であり、無理があったのかもしれない。
その矛盾に耐えきれなくなり爆発したのが、かの有名な1998年の中野サンプラザでの公演で、たった2曲を演奏してステージを降りたマイケルのトンズラ事件である。後日、インタビューで「あの頃はマネージメントに不満が多かった時期で、精神がまいっており突然音楽以外の事が頭を過ぎり、上手く演奏ができなくなったり、次に繰り出す音がうまく出せなかったりで自分自身に腹が立った、それであの時はギターに怒りをぶつけた。病気だったんだ」と言うような内容を語っていた。


1-19.The Unforgiven - 許されざる者

MSGは再びボーカリストを変え、スタジオアルバムを作成する。ジョン・ノーラムやジョージ・リンチのところでボーカルをしていたケリー・キーリングをレコーディングに参加させた。このアルバムタイトル「The Unforgiven - 許されざる者」は先のトンズラ事件に対するマイケルの謝罪の意味を込めたタイトルとの説もある。
アルバムの前半は前作を引きずるブルージーな楽曲の数々であるが、後半の「Forever And More」、「Turnning Off The Emortion」あたりから初期のキャッチーなリフが復活し最後の曲「The Storm」のバラードまで聴き応えがある楽曲が並ぶ。

Forever And More
http://youtu.be/xFLrpWSxRYQ

Turnning Off The Emortion
http://youtu.be/R3WG27HAEKc

ボーカルのケリーは際立った個性は無いけれど、声域が広く、高音シャウトも楽にこなす。そんな意味において、良いボーカルだったとも言えるが、ケリーのドラッグ問題に絡みツアーへのフル参加ができなかったと言う問題を引き起こして結局、ライブはまた別のボーカル、キース・スラックを立てて回ることになった。「The Unforgiven World Tour」と言うライブ盤にはこの2人がボーカリストとして収録されている。

The Unforgiven World Tour
https://m.youtube.com/playlist?list=PLQBlSlxRnvtNFRMP6CoV2lgchCvYjV14f


1-20.薄味のUFO

Covenant - 誓約

 2000年にリリースされたUFOの15枚目のスタジオアルバム「Covenant - 誓約」はこの時期に再編されたU.F.Oの二枚組の新作です。マイケル、フィル、ピートの三人はそのままでドラムスは元ジャーニーのエインズレイ・ダンパー、キーボードはケビン・カールソンに入れ替わっている。

フィル・モグ(Vo)
マイケル・シェンカー(G)
ピート・ウェイ(B)
エインズレイ・ダンパー(Ds)
ケビン・カールソン(Key)

一枚目「Midnight Train」でのマイケルとピートの掛け合いは往年のU.F.Oを想起し、グッときます。「Unraveled」は佳作だが、他の楽曲は特徴もなく平均点で全体的に印象は薄いアルバムになっている。ニ枚目は1995年9月のアメリカでのライヴが収録されています。「Walk on Water」発売後のツアーなので当時の新曲 「Venus」「Pushed To The Limit」が収録されている。その音源目当てで買う意味はあるが、と言った内容。この時期のマイケルは公私ともに酷い状況であり、やむを得ないのかな。

Midnight Train
http://youtu.be/kFm4RpBcznI

Unraveled
http://youtu.be/E4eDaukpM74


1-21.金欠と多作、そして売却

2000年に入り、度重なる公演キャンセル料の支払い、離婚による教育費の支払い、新しいスタジオの新設費などによる金欠となり、マイケル自身のギターコレクションの売却やソロ作品を相次いでリリースする集金活動が目立った。

2002年にUFO で「Sharks」をリリースする。前作「Covenant」と同じメンバーで収録されたアルバムで、その中でも「Fighting Man」はカントリーロックの「クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル」に似ているように感じたくらいフィルの歌い方に変化があった。その「Fighting Man」の前後を含む3曲は好みの違いはあるにせよ特徴的ではあった。それ以外の楽曲は前作同様印象が薄く、日本盤に付録するライヴ名曲3曲と対比され、より寂しさを覚える。

Fighting Man
https://www.youtube.com/watch?v=z3ZaM-SXNFw

Creedence Clearwater Revival - Bad Moon Rising
https://www.youtube.com/watch?v=zUQiUFZ5RDw

この後「UFO命名権利 - フィルとマイケルが揃わないとUFOを名乗れない」 をフィルに売却してマイケルらUFOを去る。これでフィルはマイケル無しのUFOを展開していくことができる。早速ギターにヴィニー・ムーア、ドラムにジェイソン・ボーナムをいれてUFOは「You Are Here」をリリースする後期UFOが形になる。

Mr.Freeze
http://youtu.be/Mu4-jpmYPso


1-22.浮き沈みの激しいMSG

この厳しい時期にMSGの楽曲が素晴らしい。

マイケル・シェンカー(G)
クリス・ローガン(Vo)
レベナルド(Rev)・ジョーンズ(B)
ジェフ・マーティン(Ds)

「ビー・アウェア・オブ・スコーピオンズ」
では前作「アンフォーギブン」でプロデューサーだったマイク・ヴァーニーが連れてきたクリス・ローガンをボーカルに据えて、Racer X、Badlandsにいたジェフ・マーティン、Steelheartにいたレブ・ジョーンズでメンバー一新して、2001年にリリースされた作品。アルバムとしてのまとまりがあり、最近の作品の中では、かなりの佳作が並ぶ。マイケルのギターが熱い。

Age Of Ice
http://youtu.be/EUtg9hbqVO8

Because I Can
http://youtu.be/DRbhg7uem3I

Eyes Of A Child
http://youtu.be/5EB5zM5KzDI


そうかと思えば、こんな酷い作品がリリースされる・・。

「アラクノフォビアク」はMSGの8枚目のアルバム。レコーディング中にマイケルが失踪した中、ナイトレンジャーのジェフ・ワトソンがギター入れをして完成させたと言ういわく付きのアルバムで、コレをMSGのアルバムと言えるのかが疑問がのこる2003年の作品です。
作品の質は推して知るべしでしょう。

Arachnophobiac
http://youtu.be/MFtxtlGKOWE


1-23.カバーからのパーティーアルバム

2004〜2005年にかけてカバーアルバムを何枚か制作する。企画アルバム「ヘヴィーヒッター」もカバーアルバムであり、ジョーリンターナーとの絡みもある。これは企画ものとして、カバーが流行った時期でもあり、マイケルも、企画をしたと言うもの。色々な意味で楽しめるアルバム。

All Shook Up (Elvis Presley Cover)
Guert Vocal:Joe Lynn Turner
http://youtu.be/higsAWZwXwo

9枚目のアルバム「テイルス・オブ・ロックンロール」はMSGの25周年を記念して歴代のボーカリストを招いて作られた新作アルバム。新しいボーカルとしてジェイリ・トゥナ、ベースにUFOのピートが入ってのパーティーアルバム。

マイケル・シェンカー(G)
ジェイリ・トゥナ(Vo)
ピート・ウェイ(B)
ウェイン・フィンドレイ(Key&G)
ジェフ・マーティン(Ds)

特別参加
ゲーリー・バーデン(Vo)
グラハム・ボネット(Vo)
ロビン・マコーリー(Vo)
ケリー・キーリング(Vo)
リーフ・スンディン(Vo)
クリス・ローガン(Vo)

Angel Of Avalon(リーフ・スンディン)
http://youtu.be/EetyhDJRYco

Dreams Inside(クリス・ローガン)
http://youtu.be/wr1uKINMpdc

Rock'n'Roll(グラハム・ボネット)
http://youtu.be/_2W0pqVf4ig

Tell A Story(ロビン・マコーリー)
http://youtu.be/bhwkD6FF9B4


1-25.原点回帰

2005年までの酷かった時期を乗り越えて、一つの結論に至った。初期のころのサウンドをとり戻そう!そこでマイケル自身のギターサウンドもデビューアルバム「The Michael Schenker Group」時に戻し、メンバーもファーストに拘り再招集して、10枚目のスタジオアルバム「イン・ザ・ミッドエスト・オブ・ビューティー」を製作した。このアルバムは2008年にリリースされた。ベースのみレインボー、ブラックサバス等で弾いていたニール・マーレイの参加となっている。バンド名もシェンカー&バーデンと変えて原点回帰を試みる。

マイケル・シェンカー(G)
ゲーリー・バーデン(Vo)
ドン・エイリー(Key)
サイモン・フィリップス(Ds)
ニール・マーレイ(B)

シェンカー&バーデン - Summer Days
http://www.dailymotion.com/video/x2pnmum

このシェンカー&バーデンの流れでアコースティックプロジェクト「ジプシー・レイディ」も翌年にリリースした。

Schenker & Barden Acoustic Project
Gipsy Lady - Lost
http://youtu.be/Vjckx7rl3hw

そしてMSG30周年を記念したライブアルバム
「The 30th Anniversary Concert: Live in Tokyo」が2010年にリリースされる。これはNHK BS2で放送された映像を元に再構成されたDVDである。メンバーは「イン・ザ・ミッドエスト・オブ・ビューティー」そのままで中野サンプラザで行われた公演を収録したものである。

The 30th Anniversary Concert: Live in Tokyo
http://youtu.be/SugE_eZUzPs


1-26.テンプル・オプ・ロック(最終)

アコースティックプロジェクト「ジプシー・レイディ」でプロデューサーをしていたマイケル・ヴォスをボーカルに据えて、その他はゲストと言う明解な構成のプロジェクト。
マイケル・シェンカー&フレンズと言うノリがマイケル・ヴォスの参加でこんなに上手く作り出せるとは想定外だったろう。

Temple Of Rock Live in Europe 2012
http://youtu.be/poFx3o62LPY

扱いとしてはマイケルのソロアルバムの扱いだが、2013年にもテンプル・オプ・ロック名義でアルバム「ブリッジ・ザ・ギャップ」をリリースしているし、昨年2015年も「スピリット・オン・ア・ミッション」をリリースしている。二作目からヴォスはプロデューサーに戻り、ボーカルはレインボーやインギーの経験を持つドゥギー・ホワイトに変わったけれど、マイケルのライブ中の楽しそうな表情は変わらない。まだまだこれから素晴らしい曲を僕らに届けてくれるに違いない。マイケル・シェンカーはまだまだ熱いぞ!僕らのレジェンドにプロスト!

Michael Schenker Rock Hard Festival 2015
http://youtu.be/uuz9q0aKBww

Vol.1(終わり)