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「メタルはわからん!」② by KAZZ01-METAL


 釧路の幣舞橋は皆知ってるよね!
 その袂辺りに”くしろデパート”って所が昔あったの。
 建物自体は今もあるんだけど、辞めて随分経つんだよ。
 俺が高3の時点で大分寂れてきてたんだけど、ある日その5階のフロアーをパーテーションで細かく区切って格安で個人に貸し出したのね。
 っで、名前を「自由市場」と称して今で言う常設型のフリマみたいな空間を作った訳。
 俺はここが結構面白くて出来てから良く通ってたんだけど、その一角に変な貸しレコード屋が出来たんだよ。
 名前は「AS」Another Dimention Sound Factoryの略なんだけどね。
 最初見っけた時は首突っ込むのためらったんだよね~
 何つ~か、独特の雰囲気で商売っ気が感じられないっつ~か、来る者を容易に受け入れない雰囲気って言うの!
 しか~し!俺は意を決して突入したのであった~!
 何故なら、脳不安のN沢がチョイスしてくる曲の正体を知りたいと思ってたからね!
 PILやThe Stranglersは釧路のレコード屋には置いてなかったけど、メジャーからリリースされてる事が判ったんで頼めば購入可能だと知ったんだが、ディスチャージや
 バズコックスなんて初めて聞いたバンドだし、音楽雑誌とか見たら輸入盤ってなってて俺みたいな学生風情には、簡単に手が出ない感じだったんだよね~
 っで、もしかしたらここになら有りそうな雰囲気がプンプンしてたんで行ってみたのさ!

 俺より背のデカイボーズ頭の兄さんが1人、俺が入って行くと
「いらっしゃい~」と慣れない感じのボソッとした声で一言。
「すいませ~ん、チョット見せて下さい」
 俺は折角来たんだからと片っ端から物色した。
 多分20分位の居ただろうか?
 さっきの兄さんが又ボソッと言った。
「何か探してるの?」
「あっいや~ディスチャージとかバズコックスとか出来たらストラングラーズなんかないかな~と思って」
 そう言った途端、兄さんの表情がパッと一変した!
「な~んだ、そんなの聞くの~!だったら早く言ってよ~全部あるからさ~」
 そう言って机の下の段ボールから色々出して来たよ、言ったヤツ全部!
「いや~さ~、まだ店出したばっかりだから全部出してないんだよ~面白そうなヤツまだあるんだよね~」
「そうなんですか、例えばどんなのあるんですか?」
「そうだな~、バウハウスとかクラスもあるよ!後ね~日本のインディーズもかなりあるんだよね~まだ出してないけど」
 ・・出せよ!分かんねぇ~よ!
 この店出来たばっかで、まだ看板も出してなかったんでとりま訊いてみた。
「あの~このレコードって売ってるんっすか?」
「いや、全部貸しレコードだよ。借りてく?」
「因みにいくらなんですか?」
「物によって違うけど、今回はサービスで全部200円でいいよ!3泊4日ね」
 ・・・やった!!200円で輸入盤借りれたわ!
「本当っすか!?じゃあその3枚借ります」
「ど~も~、今ちゃんとしたら会員証とか作るから、今日はこのノートに名前とか住所とか書いてって」
 ・・・アバウトだね~そんなんで大丈夫なんかい?
 しかしながら、これはイイ所見っけたぜ!

 ぱ~~っと見たけど、どれもこれも見た事無いジャケットばっかだもんね~
 これは面白そうだわ~
 早速帰って聴き捲る、そして記憶する。
 だってこの頃俺はレコードの音をカセットに録音する機材なんて持って無かったからさ~
 っで3日後に返しに行った。
 すると例の兄さんが何か作ってた。
「こんちは~何やってんっすか?」
「あっこれ!?店の看板作ってたんだ」
 赤く塗った板に黒文字で「AS」ってレタリングした文字が書いてあった。
「ASって言うんっすか、このお店」
「そう!Another Dimantion Sound Factory だから略してAS」
「成程、取り敢えずレコード返します」
「あっどうもどうも~今日も何か見てくかい?」
「そうさせて貰います」
「あのさ~こう言う感じ好きだったら、コレとか聴いてみれば?」
 そう言って兄さんが俺に見せてくれたのが「東京ROCKERS」だった。
「面白そうっすね、コレ借ります」
「そう、コレいいんだよ~!聴いたら感想聞かせてよ!」
 そんな感じでこの兄さんと話してる内に、妙に仲良くなっちゃって何だか俺だけどれ借りても1枚200円でよくなっちゃったんだよね~

 この兄さん、名前はKTさんとしておこう。
 色々聞いたらこのお店、実経営はこのKTさんなんだけど、もう2人レコードを共同出資して始めたらしい。
 1人はN谷さんと言って、夕方たまに顔を出す事があった。
 普段はバーテンダーをしてるらしい。
 もう一人はWさんと言って、お店にはあまり来ないんだけど普段はピアノの調律師をやってるらしい。
 後程このWさんと俺はバンドを組む事になるのだが、まあ今は置いておこう。
 俺もこの空間が好きだったし、KTさんも俺を気に入ってくれた様でその後俺は毎日ASへ通う様になっちまった。
 お陰でインディーズ・パンク系・エスニック・ニューウェーブとかその辺のジャンルに随分と明るくなってしまった。
 終いにゃ~休みの日は、開店から閉店まで居て、TKさん俺に店番まで任せる様になっちまった。
 なのでレコードの整理やら、仕分け板にバンドのロゴ描いたり、当然レコードの貸し出しもやってた。
 最後の方なんか、完全に俺が店員だと思ってたヤツがかなりいたに違いない。
 そうそう、デビッド・ボウイやT-REXを聴いたのもここで知ったのがきっかけだった。
 今の俺の音楽ジャンルのすそ野を飛躍的に広げてくれたのが、この時期だったんだね!
 スターリンのTRASHなんかレンタルしてくれる所なんて、そうそう無いでしょ!?
 この時期は今考えてみると、自分の音楽人生の中で一番充実してたかも知れないなあ~
 インスパイアされる事が毎日の様にあったんだもん!
 中々ないよね~そんな事ってさ。

 っで、こう言う所に居ると、そう言う連中がやっぱ集まって来るんだよね~
 脳不安の連中も良く来たし、他校のバンド連中とも良く会った。
 そして不思議な事に結構女の子が多かったのよ~!
 コッチは一々顔を憶えてらんないけど、ライヴとか行くと向こうから声掛けてくれたりしてね~ いや~~役得、役得!!
 でも、そんな楽しい時間もそんなに長くは続かなかったんだ。
 やはり、なんやかんや言うても家賃も経費もかかる訳で、利益が出る程には儲からなかったんですな~
 丁度俺が3月30日に就職で網走に行く5日前にASは店を畳んだ。
 店じまいの手伝いも、KTさんちにレコードやその他の資材をトラックで運んであげたりも俺がやった。
 俺としては、ココで得たモノがとても大きかったから、それ位の事はしたかったんだよ。
 最後にKTさんちに荷物を運んだ時、彼がこう言った。
「KAZZ、その箱3つお前が持っててくれ。実家には置ききれないからさ」
「いいんっすか?俺網走持ってっちゃいますよ?」
「いいよ、それだけあれば暫く退屈しないだろ」
 その箱の中身は全部レコードだったんだよ。
 俺も引っ越しでワタワタしてたんで、網走に行ってから中身を確認したんだけど、かなりレアなモンが沢山入ってた。

 皆が良く知ってるのなら、ベルベット・アンダーグラウンドのバナナジャケットとかね。
 あれって、外の皮がシールになってて、めくるとバナナの中身が印刷されてるんだよ~

https://res.cloudinary.com/lpmarketplace-prod/image/upload/meuzrsd2wyrftlfeutts.jpg

 あの頃だな~アングラ情報満載の「宝島」を購読する様になったのは。
 今でも自分の中では、短かったけどとても重要で濃密な時間だったと思っています。
 それで、そのレコードはどうしたかって??
 それは又別の機会にね~
 では最後に、今回に関連した曲をちょこっと貼ってお終いで~す。

Public Image Limited - Death Disco
https://www.youtube.com/watch?v=eFxpL5TpZH0

Discharge - Does This System Work?
https://www.youtube.com/watch?v=I0WgrGRawcQ

Buzzcocks "Breakdown" 1976
https://www.youtube.com/watch?v=fiTWdZhqoc0

The Stranglers - 5 Minutes
https://www.youtube.com/watch?v=2n1Zx5eM38M

STREET KINGDOM 東京ロッカーズと80'sインディーズシーン PV
https://www.youtube.com/watch?v=vbU56mbPsIY

そろそろ俺の高校生活も終わりだな~
次回は10代最後に組んだバンドのお話しだお~ じゃ!

 第27回 カオスでいいべさ!

 ASに通い始めて3週間程経った頃の事だ。
 俺は相変わらずKTさんの代わりに店番をしていた。
 すると1人の兄ちゃんがやって来てこう言った。
「あれ? KT居ないの?」
「今チョットトイレに行ってますけど」
「そうなんだ、所で君は誰?」
「そう言う貴方はどちら様で~?」
 俺が笑顔で返すと彼は笑いながらこう言った。
「あははは~そうだよね~! こりゃ参った~僕はW、KTの友達なんだけどココの共同出資者でもあるんだよ。レコード提供してるんだ!」
「そうですか~失礼しました、自分はココの常連でKAZZって言います」
「そうか~この時間に私服って事は大学生かい?」
「いえ、辛うじて高校生っす、服の事はこの際置いとくって事でお願いします」
「何か君面白いね~いいなぁ」
 とか話しているとKTさんが帰ってきた。
「お~Wどうした、何かあったか?」
「別に何も無いけど、チョット様子見に寄ってみたのさ」
「あの~俺チョットその辺ブラブラしてきま~す」
 俺は何か込み入った話しでもあるのかな~と思って一時席を外した。
 10分位して戻るとWさんはもう居なかった。
「KAZZアイツと話したんだろ? どうだった、アイツ面白いだろ!?」
「あんま良く分かんないけど、明るい人っすね」
「いいヤツなんだ~俺が釧路帰って来てASやるって言ったら、すぐ協力してくれたんだよ」
 ここでチョコッと説明、KTさんは元々釧路出身で、高校卒業してすぐ東京へ行った。
 向こうではプロのベーシストで飯食ってたらしい。
 ”ザ・ベストテン”のバックでも弾いてたって言ってたけどね~
 っで、どうやら不摂生が祟って身体壊してこの年釧路に帰って来たって訳さ。
 実家は父さんが測量会社の社長さんをやっていた。
 ASのレコードは、その時買い漁った物らしい。
 Wさんは、学生時代からの友達だったんだとさ!

 俺がASに通い出したのは、高校卒業する前の年の9月頃だったと記憶している。
 Wさんに初めて会ったのは10月も終わり頃だったはずなんだ。
 それからあんまり来れないとか言いながらWさんは週一位の割合でASに顔を出す様になった。
 俺も必ずと言っていい程居るもんだからWさんともすっかり仲良くなっていた。
 その会話の中で彼がピアノの調律師だと知ったのだ。
 そしてもう12月も中頃だったと思うんだけど、相も変わらずASで店番しているとWさんがやって来た。
 今日は珍しく私服だね~ 普段はサラリーマンっぽくはないんだけど、スラックスにネクタイ締めてチェックのジャケットか何か着てるんだけどさ。
「よ!まいど~お客さん少しは増えたかい?」
「まあ、ボチボチっすわ~俺はこう言うの面白いと思うけど、マニアックっすからね~」
「そうだよね~東京なら良かったんだけど、釧路だもんな~」
 そんな会話で始まって、今日はどうやらお休みらしく座って話し出したよ!
「KAZZ君っていつもロッカーっぽい恰好してるけど、バンドとかやってるの?」
「最近までやってたんっすけど、今はお休みしてます。やりたいんっすけどね~」
「何でやらないの?」
「う~ん、元々ハードロックやってたんっすけど、最近ココの音楽聴く様になってアヴァンギャルドっつ~か、誰もやってない様な音楽やってみたいんっすよね~」
「ほう!いいね~例えば?」

「曲でも、1ライヴでもいいんだけど、テーマだけあってそれをイメージしてメンバーが即興でプレイしたりとか、昔の歌謡曲をフリクションみたいな感じにアレンジして
やったりとか・・かな~解かります?」
「ほ~~イイ所突いてるね~!実は僕バンドやっててね、そう言うのをやってるの」
「え!本当っすか!?もうやってる人居たんだ~!聴いてみたいなぁ」
「家に来たらテープ有るよ、どうする!?」
「えっ行ってもいいんっすか!?」
「決まり~~!これから来るかい?」
 って訳で俺は急遽Wさんの家へ行く事になった。
 Wさんの車に乗っかってくしろデパートから2・3分の所だった、近いんじゃん!
 古いけど、結構大きなお宅で居間とWさんの部屋が繋がった様な感じだった。
「さ~てと、コレがそのテープだよ、先ずは聴いてみようか」
 何か如何にも高そうなコンポのカセットデッキでスピーカーも今にして思えばJBLだったね~バフレス型の結構大きいヤツ。
 聴いてみると、何と表現したらいいやら、ザッパとかジャコパスが即興でセッションやったみたいな~それにアフリカの太鼓とかシンセまで合わさった感じかな~?
 どっから次の曲に入って終わったのかさっぱり分からん、そんな感じで30分位続いた。
「どうだった?」
「あの~今のってアレで1曲なんですか?」
「成程ね~、それはね、1曲でもあるしもしかすると10曲でもあるかも知れない」
「あ~~つまり、プレイヤーそれぞれの感覚によるって事ですね」
「分かってるじゃ~ん!そう言う事。やりたいのって、こう言うんじゃなかったかな?」
「自分がやったら、こう言う音になるかは分かんないっすけど、方向性としては合ってます」
「やっぱりKAZZ君面白いなぁ、じゃあこんなのはどうかな?」
 そう言ってWさんは、色んなモノを俺に聴かせてくれた。

 インドのシダール・モンゴルのホーミー・アフリカの色んな部族の儀式の歌や音楽etc・・
 確か14:00頃来た筈だったんだけど、気が付いたら18:00過ぎてた。
「まだ時間大丈夫かい?良かったら晩御飯出すよ。聴きたそうなモノもまだあるよ!」
 ・・そんな事言われたら、帰れないっしょ!!
 当然宴は続く訳っすよ~
「KAZZ君ハードロックやってたんでしょ!?だったらこんなの聴いた事あるかい?」
 Wさんは、又新たなテープをかけ出した。
「これ、コロシアムⅡってバンドなんだけどさ、知ってる?」
「いや、知りません」
「じゃ、ゲーリー・ムーアなら判るかな?」
「あっそれは分ります!」
「だったら話が早い、コレ面白いよ~」
 そう言って聴かせて貰ってビックラこいた!
「コレってイラプションですよね?」
「そうさ~でも違うでしょ!?これライトハンド使わないで全部ピッキングで再現してるんだよね~ヤルでしょ、ゲーリー・ムーア!曲名がね”VAN HALENさん御免なさい”」
「いや~~スゴイっすね~~!!」
「KAZZ君、ハードロックの話になると目が輝くねぇ、好きなんだね~」
「そうっすね!一番好きなのはソコですかね~」
 そっからRAINBOWやらZEPの海賊版だとか出して来て散々盛り上がったんだよ。
「所でWさんってピアノの調律師なんですよね?絶対音感とかなんですか?」
「うん一応ね~」
「やっぱり!もしかして音大とか出てたりします?」
「うん一応ね~でも大した所じゃないよ~」
 んな事ねぇだろ~! 壁に額装で武蔵野音大の卒業証書掛かってるじゃね~かよ!
 この人メッチャ親しく話してるけど、本物だなこりゃ!
「あ~一応やってるよ、固定のメンバーはサウンドハウスの2人なんだ~後はそん時都合のいい人、前は奈良さんとセッションしたよ!奈良さん知ってる?」
「はて、何方でしょ?」
「KAZZ君ライヴ良く行ってるから見た事ないかな?髪長くて髭も長い人」
「あ~~!あの人奈良さんって言うんっすか!最近ライヴで良く話す様になったんっすよ」
「あの人プロのパーカッショニストなんだよ~」
「へ~そうなんですか~知らんかったっすわ~」
 そんなこんなで、あっと言う間に時間は過ぎて、気が付いたら21:00過ぎてた~!
「流石にマズイっす!そろそろ帰りますわ」
「そっか、じゃあ家まで送ってくよ」
 帰りには、今日聴ききれなかったテープを何本かと、現代美術の源泉って本を3冊程借りて我が家まで送って頂きました。
 そして年が明け、又ASでWさんと会った時の事、いきなり俺にこう言って来た。
「あのさ~僕と一緒にバンドやらない!?」
「え~~~!!凄く嬉しいけど、サウンドハウスの人メンバーなんですよね?
 俺去年の学祭で機材倒して喧嘩しちゃったからマズイんじゃないっすか?」
「え~!アレってKAZZ君だったんだ~話は聞いてたよ~僕その話し聞いてさ~ じゃあ僕がエキサイトしてマイク倒したらPA止めるのかって言ったら、それは止めませんって言いやがったから、なんで演奏中に止めたんだって怒ってやったんだ!」
「いや、あれは自分が悪いっす!でも有難う御座います」
「あのね、そっちのバンドとは別にさ!KAZZ君のやりたい様にやって欲しいのさ。それで僕をメンバーに入れて欲しいって事だよ」
 な、なぬ~~~~!!そんなスゲェ~~人を俺がメンバーに入れるっての!??
 んなアホな!!

 でも結局Wさんに押し切られた形でそのユニットはスタートする事になった。
 したらその話を聞いてたKTさんが
「何か面白そうだな~俺も仲間に入れてくれよ~」
 ってなって、俺=ヴォーカル・Wさん=ギター&鍵盤全般・KTさん=ベースって事になった。
 スゴイ事なんだけど、やりづらいなぁ~俺以外プロって言うのもねぇ~
「やっぱりさ~打楽器は欲しいよな~俺店で色々声掛けてみるわ」
 KTさん何か凄いヤル気だ~
 でも確かにドラムにせよ何にせよ打楽器は欲しい所ではあった。
 こう言う時には、そう言う事は続くもんだ!
 後ろから声が・・
「こんちは~何か凄い盛り上がってますね~どうしたんですか?」
 パンクバンドの大山君だ。
「お~学ランで会うの初めてじゃない?」
「KAZZさんじゃないですか!俺あのバンド辞めたんですよ」
「えっどうしたのよ~まだライヴ3回位しかやってないんじゃない?」
「そうなんですけど~脳不安と違って唯騒いでるだけって言うか、つまんなくなっちゃって」
「そうなんだ~それで今日は?」
「あっコレ、レコード返しに来ました」
 そんな会話を聞いていたWさんが話に加わって来た。
「大山君だったっけ?どんなのをやりたいのさ?」
「はい、具体的に良く自分でも分かんないんですけど、もっと他に無いって言うか前衛的って言うか、そんな感じのをやってみたいんですよね~」
「な~んだ!だったらKAZZ君のユニットに参加してみたら!? きっと面白いよ!」
「えっKAZZさん、何かやるんですか?」
「うん、俺とWさんとKTさんと今ん所3人なんだけど、テーマ決めてアドリブでセッションするみたいな感じのモノをやろうと思ってるんだけどね」
「それイイっすね!!もし良かったら自分も参加させて貰えませんか!?」

 KTさん、すかさず言ったね!
「いいタイミングだな!いいんじゃない、取り敢えず参加決定でさ!だったら今の内に何時音合わせやるか決めちゃおうぜ~!」
 そして、あれよあれよと言う間に最初の練習・・じゃないな、プレセッションは明後日の16:00に決定した。
 その日はASをN谷さんに見て貰って18:00までやれるって事になって貸しスタジオミューズに集合した。
「お~い、誰か運ぶの手伝ってくれ~~」
 Wさんの声だ。
「機材重たいんだもん、1人じゃ無理だよ~」
 Wさん気合入ってる!ギター2本にKORGとROLANDのシンセ持って来た。
 ギターはGIBSONのSGとBCリッチーのモッキンバード、本物初めて見た!
「こんな機材こないだ家に無かったじゃないっすか?」
「あ~場所取るから職場に置いてるんだよ~」
 ・・いい職場っすねww
 っで、機材のスタンバイも終わってセッション開始っす!
「KAZZ君それでどんな感じで始める?」
「はい、今回は今自分が世界に対して感じてる思いとか、憤りを表現したいと思います」
 そう言い始めて、米・ソの緊迫やら、ユダヤとイスラムやらの話をし、そう言うイデオロギーを一度全て解体したら何が生まれるか?そこいら辺を表現しようって事で
セッションは始まった。
 今になって思う、録音しとけば良かったわ~~!!
 自分で言うのも何だけど、スッゲェ~~面白かったのよ!!
 2時間は、あっと言う間に過ぎちゃったのでした~
 そしたらドアの向こうで拍手をする音が!?
 おや、奈良さんじゃないっすか!

「いや~面白かった!いいんじゃない、それ何って曲なの?」
「あら奈良さん!そんなに良かった!?今のはテーマ決めてアドリブセッションしてたんだよ」
「WさんとKAZZ君が一緒なんだ、今度僕も参加させてよ」
「いいよ、来て来て~!もっと面白くなるわ~」
 Wさん、これ以上プロの人だらけになったら、俺どうすればいいんっすかね??
 その翌週、奈良さんとは一度セッションさせて頂いた。
 見た事無い打楽器を幾つも持って来て、凄い面白かった!
 テクノと前衛ジャズとアフリカがゴッチャになった様なそれにプログレまでミックスされた様な音の洪水の中で俺が時に歌い・語り・叫び・しまいには演説すると言う
それが区切り無く30分位続くんだよ~
 大山君は言ってた。
「俺こんな面白いの初めてです!まだまだ下手ですけど頑張るんで続けさせて下さい!」
 俺もコレは是非ライヴでやりたいと思ったね!
 でも人生と言うのは、そう甘くないんですな。
 俺は釧路で働く予定だった。
 所がその会社が網走に出張所を出すので、4月1日付で網走勤務が決定してしまったんだ。
 しかもそれが決まったのが、3月10日の事だよ。
 その時点では、頻繁に釧路へ帰って来れるか分からなかったし、自分のせいでプロの大人達を振り回す訳にもいかないと思い、考えた末やむなく一度もライヴを出来ずに
このユニットを解散する事にしたんだ。
 3月16日の事だった。
 ここまで来て、お判りだと思いますが、このユニットに参加してた大山君ってのは、後にZIGGYのドラマーになった大山君です。
 そして、最後に奈良さんのプロフィールを貼っときますね(^^)

http://www.shigemi.ne.jp/gaia/sub3.htm

 さて、次回は釧路で最後の大暴れをして網走に行っちゃいます。じゃ!


 第28回 18の夜

 まず最初に、事実を歪曲したくないのでありのまま書きますが、私今はちゃんと更生して全うに生活しておりますので、あしからず。

 ・・あぁ、もう10時半かぁ~
 今日は3月30日、今晩両親が店じまいしたらその足で俺は網走に強制送還され、向こうで一社会人として、新しい生活がスタートする。
 つまり、親の傘の下で脛齧ってイイ気になって好き放題やれるのも、今日限りと言う訳だ。
 そう思うと、そこはかとない焦燥感に苛まれる。
 今の眼で見りゃ~んなモン当たり前だっつ~話しなんだけど、この時点での俺はそこまで世間も見えてないし、その成り行きが憂鬱なものでしかなかった。
 とは言え、今日の俺の予定は決まっていた。
 市民文化会館18:00会場でTHE MODSのライヴに行く事になっているんだ。
 メジャーデビューし立てのツアーで釧路に来たのだ。
 実の所、俺は大してMODSが見たかった訳ではない。
 前座で第弐特殊部隊が出るって言うんで結城さんからチケを買ったんだ。
 結城さん、ポプコン以来ライヴをやってなかったんだよ。
 だから久しぶりに見られるんで、楽しみではあったんだ。
 でも、風の噂によれば随分と音楽性が変わってるって話も聞いてるし、メンバーに学祭の時にギターやってくれたN川が入ったって情報もある。
 まずは見てからだな、でなきゃ何も分からん!
 まずは、飯を食ってそれからジムにトレーニングだ。
 俺が働く筈だった釧路の営業所で冬休みと春休みの1週間バイトって形で仕事を教えて貰ったんだが、兎に角重たい物が多い!!
 自分の力の無さにあきれ果てて、3学期の初めからジムに通い始めたんだ。
 ひょろひょろだったのさ、身長178cmで体重が58kgしかなかったんだもん。

 いつものコースで2時間みっちりやって、帰って来て風呂入って、早目の晩飯食ったらもう17:00だよ。
 とは言っても、実家から会場までは歩いて15分位の所だったんで余裕なんだけどさ!
 キッチリ身支度整えて、6時5分前に家を出た。
 会場に着くと、顔なじみの面々が集まっていた。
 ライヴは小ホールで400人弱しか入らない小さい箱だが、スッカスカだった。
 恐らく100人も居ればいい方だったんじゃないだろうか?
 まあ、まだ知名度の無いバンドがこんな片田舎に来ればそんなもんだろうさ。
 俺は結城さん達の音やパフォーマンスを良く見たかったんで、最前から下がって10列目の真ん中辺に座った。
 同じ様な事考えてたバンド仲間の連中もその辺に陣取った。
 俺も含めて相変わらずガラの悪い連中だ!ww
 結城さん達の演奏が始まった。
 やはり音楽性が変わったんだ、アレンジが全然違う。
 どの曲も、曲調がアンダーグラウンド感満点だ!
 もしかすると結城さんも今も俺と同じ様な所に影響受けてるんじゃなかろうか?
 1曲だけ”I LOVE YOU”と言う曲だけアレンジを変えなかった。
 俺は第弐特殊部隊の曲の中で、この曲が1番好きなんだけど、そのまんまだったのが嬉しかった。

「コレクター」って映画知ってる?
 この曲は、結城さんがこの映画を観てインスパイアされて作った曲なんだ。
 音源は流石に無いんで、歌詞だけ少し載せてみるよ。

 怯えるその手で俺を握り締めてくれ
 震えるその手で俺を握り締めてくれ
 痛み 痛み 突き刺す様な痛み
 俺を 俺を 突き刺す様に俺を
 容赦なくロープ食い込んで行く
 お前の白い肌 俺の身を凍らせる
 幾ら叫んでも 聞こえない
 お前は 啼き声さえも 俺だけの物
 I LOVE YOU 好きなのさ
 I LOVE YOU 俺には
 I LOVE YOU お前が全て
 I LOVE YOU I'm a Corector

 歌詞はこんな感じです。
 前座なんで、30分程で終わっちまった。
 そしてMODSのライヴが始まる。
 今思い返すと、たったアレしか客がいなかったのに、森山は凄く熱かった!
 全力で向かって来てた!
 いいステージだったと思う。
 でも、そん時の俺ときたら「その位じゃ俺は乗れねぇ~よ」位の態度だった。

 まあ~~~生意気なクソガキだべよ!
 無事ライヴも終わり、ロビーで結城さん達と少し話して、さ~これからどうする? って話しになった。
 俺はすかさず言ったね!
「お~!呑みに行こうぜ~!」
 色々むしゃくしゃしてたんだと思う。
 その誘いに乗って来たのは4名程だった。
 でもその4人でハッキリ憶えてるのは、脳不安のベースだったYだけなんだ。
 この当時、見るからに怖そうな恰好をした5人のクソガキを入れてくれる場所なんて
 ミルキャン(MILK CANDY)位しかなかった訳で、表の通りまで出てバスに乗って末広っつ~夜の繁華街まで行った。
 このバスって所がカワイイっしょ!?
 この日は丁度土曜の晩だったんで、ミルキャンも賑わっていた。
 取り敢えず、俺のストックボトルと、適当におつまみを頼んで乾杯~~!
 俺は高校出たて、後の4人はこれから高3、そんなバカガキ共が勢いに任せて酒呑むんだから半分位しか入ってないボトルなんざ~アッチュ~間に空いちまうわな~
「ボトルもう一本頂戴~~!」
 皆燃料も回って来て、イイ調子になってきた!
 Yが少し心配した面持ちで俺に訊いた。
「KAZZさん、お金大丈夫なんですか?」
「あ~、んな事今心配すんな~!バイトしたから金ならあんだよ~おら~~!」
 俺はこれから網走行って、給料日までの当面の生活費に充てる予定の7万を見せて更にエスカレートしていった。

 酒が呑めないヤツもいたんだけど、殆どは俺とYで開けていた感じで3本目のボトルに手を付けた頃には、もう手を付けられん状態だった。
「よ~~し、もう一回乾杯しよ~ぜ~~!」
 そう言って俺は皆にグラスを持たせて、乾杯~~! って言いながら自分で頭から酒をかけ始めた。
 それを見て喜んでたのは、Yだけだった様な気がする。
 だってそれを見て自分も頭からかけたのはYだけだったからな~
「よ~し、もう一回乾杯だ~~!」
 この酒をかぶる乾杯を2回やった所で、オーナー兼店長のトールちゃんがやって来た。
「お前ら、いい加減にしろよ!店汚しやがって!もう来んな、出てけーー!!」
 トールちゃんの気持ち良く分る!
 俺が同じ立場なら、蹴っ飛ばして追い出してるもん。
 だが、この時の俺はそりゃ~ひでぇ~もんだった。
「あ”~~、分がったよ~こんな店二度と来てやんねぇ~~わ!」
 そんな捨て台詞を吐き散らして、それ以後俺等はミルキャン出禁になった。
「面白くねぇ~な~!何か呑み足りないべや~~!」
 ・・いやいや、もう限界でしょ~~!?
 しか~し! 勢いのついたバカは、もう止まらない。
 適当に目に付いた居酒屋に入ろうと思ったら、あっさり店主に断られた。
 だって見るからに悪そうなんだも~ん!
 えっどんな格好してたかって?
 Yはシド・ビシャスそのもの。
 俺は、ブーツ・皮パン・皮ジャケで中はボロボロのガーゼTeeで頭はロン毛のツンツンのパツキンと来たもんだ!

 この時代、こんな田舎にこんな恰好したヤツ何処にもいなかったから目立つ目立つ!
 だって、見るからにヤンキーみたいな連中も避けて通ってたもんな~
「酒足んねぇ~な~」
 十分足りてるんだけど、バカは目に付いた酒屋でブラックニッカを購入、街をうろつきながらボトルをラッパで回し飲みだわさ。
 完全に無敵状態になった俺に、いいタイミングでどっかの酔っ払い親父が絡んで来た。
 もう何言われたか憶えてないけど、俺は心の中で・・カモが来やがった、ラッキ~~
って思ってた。
 馴れ馴れしく肩に手を回して、訳分かんない事言ってるオッサンに逆に肩を組んで
「お!イイ路地裏だ~、お前らチョット待ってろや~」
 そう言って、俺はオッサンと2人暗がりに消えた。
 多分30秒位で戻って来たと思う、勿論俺1人で。
 誰かが言った。
「KAZZさん、さっきの人どうしたんっすか?」
「あ?そんなヤツ居たっけ~何か肩重かったから、ゴミ箱に捨ててきたわ~」
 何があったかは、想像して下さい。
 そんなバカ共が街でウロウロしてたから、きっと誰かが通報したんだろうね。
 人気のない銀行の裏手を酒を浴びながらふざけて歩いてたら路駐した車にぶつかった。
「なんだ、この車生意気なんだよ!」
 思いっきりフェンダーを蹴っ飛ばした。
 丁度その時だ!

「そこの君達、そこで止まりなさい。警察です」
 後ろを見ると、パトカーが赤色灯回してスピーカーで警告してきた。
 ・・ヤバイ!ここでパクられたら、就職おじゃんなんじゃねぇか?
 親の顔も浮かんだ。
 でもきっとこれを思うのに1秒もかかってなかったんだと思う。
 とっさに俺は「散れーーーー!!」って叫んだ。
 一緒に来たこいつ等を逃がさなきゃいけない。
 逃げ道は右・左・前の3方向。
 Yともう1人は左に走った。
 後の2人は右に走った。
 パトカーから警官が4人降りて来てこっちに走り出した。
 パトカーのサイレン鳴らして走り出した。
 俺は自分にマッポ(警官)を引き付けようと、少し遅れて前へ走り出した。
 4人の内2人はこっちに引き付けた。
「そこの君、止まりなさ~い!!」
 そんな事言って止まる訳ねぇだろ! コッチは悪者なんだよ!
 こう言う時って、異常な程の力が出るもので、まるで飛んでる様に早く走れるんだよ。
 あっという間に警官を引き離し、目の前に高い塀で囲った駐車場が見えた。
 俺はわざとそこへ逃げ込んだ。
 そして、その高い塀をジャンプして掴み、域に飛び越えて塀の裏側に隠れた。
 警官達の声がする。
「確かにここに入って行ったんですよ」
「居ないじゃないか、見間違いじゃないのか?」
「おかしいな?」
「だって、あんな高い塀飛び越えて行ける筈ないだろ。向こう行ってみよう」
 立ち去る音がする。

 俺はそれから5分位待っていた。
 サイレンの音も、もうしない。
 辺りを見ながら駐車場側に戻る。
 隠れながら道路を覗いたが、もう何の気配も無かった。
 ・・あいつ等上手く逃げられたんだべか?
 少し警戒しながら道路に出ると、空車の文字が目に入る、タクシーだ。
 俺はタクシーを止め、乗り込み両親の待つ実家の居酒屋へ帰った。
 店の前迄来ると、既に店じまいも済んでいて、両親は俺を待っていた。
「ほれ、さっさと乗りなさい、行くよ」
 お袋が俺と言うよりは、一緒に待っていた親父を気遣う様に強い口調で言った。
「遅くなって悪かった」
 そう、一言行って車に乗り込む。
 親父は運転、お袋は助手席、俺は後部座席で車が走り出した途端安心したのか、一気に酔いが回って来て、そのまま寝てしまった。
「ほれ、着いたよ」
 お袋の一言で目が覚めた時には、そこは網走で中頃に会社に挨拶に来た時に借りるのを決め、既に大方の荷物も運ばれている、俺の新しい新居の前だった。
 俺は二日酔いで酷く具合が悪く、親の言う事もまともに聞き取れない程だった。
「まだ早いから、時間になったら要る物買いに行くぞ」
 親父がそう言っていたと思うが、俺は部屋に入るなりベッドに倒れ込みそのまま動けなかった。
 次に起こされた時には、お袋がこう言った。
「そしたら私達これで帰るから、明日からちゃんと仕事行くんだよ」
「ああ、分かった。悪かったね・・」
 それだけ言うのがやっとだった。

 そして又眠りについて、次に目が覚めた時には、もう夕方だった。
 二日酔いも治って、ようやく思考がまともに働きだした。
 部屋を良く見ると、親が買い揃えていってくれた冷蔵庫とガスレンジと湯沸かし器と炊飯器が付いていて、当面の食料も置いてあった。
 冷蔵庫を開けてみると、恐らく釧路から持って来てたんだろう、タッパに入った幾つかのおかずとたくあんが入っていた。
「悪い事したなぁ、今度帰ったら謝らないとなぁ」
 急に腹が空いて来た。
 米を焚くのも面倒だったんで、今でも忘れないまるちゃんのみそ味ラーメンを2個作って食べた。
 良く見ると、冷蔵庫の上に下手な字で書いたメモが置いてあった。
 お袋からだった。
 ”今お店が大変だから、お金は置いて行けないけど頑張って働きなさいよ”
 俺は思った。・・俺親不孝だわ・・
 気が付けばもう20:00、明日の支度して寝なきゃ!
 目が覚めれば社会の中の、会社の中の歯車に化けて廻り続けなきゃいけないんだから。
 一応書いておくと、明日の準備にはこの金髪を黒く染める儀式もちゃんと含まれていたよ。
 事前に白髪染めを買って、荷物の中に入れて置いたのさ。
 多分髪も短く切らなきゃなんないだろうなぁ。
 腹括っとけよ、俺!
 23:00就寝。
 明日からのHEAVY DAYSに備えろよ!


 第29回 FEID OUT

 働き初めて3日が経った。
 自分で食って生活していくのは大変だ。
 身をもって親の有難さが判る。
 俺が住んでる所は会社のすぐ横にあるハーモニカ長屋。
 夜になって、誰も居なくなった会社に行ってYに電話してみた。
「久しぶり、大丈夫だったか?」
「いや~補導されちゃいましたよ~親呼ばれて家に帰りました。
 KAZZさんこそ大丈夫でしたか?」
「俺は逃げ切ったから・・悪い事したな」
「何言ってんっすか!俺KAZZさんと呑んであんな楽しいと思わなかったっすよ~!
 コッチ帰って来たら又誘って下さいよ!」
「兎に角無事に収まって安心したわ」
 本当はもっと長く話したんだけど、要点だけ抜粋ね。
 イイ気になって呑み代おごって、金使った挙句気が付いたら残金3万円。
 これで25日やり過ごす。
 網走で独り暮らしするにあたって、本当にやる気の無かった俺は引っ越しの際も適当で気が付いたら、テレビもねぇ、ラジオもねぇ、電話もねぇのないない尽くし。
 流石に耐えられなくて、配達途中でたまたま見っけた電気屋でラジカセを購入。
 お陰で残金18000円に減る。
 人と言うのは環境に影響されやすい脆弱な生き物である。
 まだ観光開発があまり進んでなかった俺の住んでた刑務所近辺は、自然の宝庫だった。
 配達で車を走らせても雄大な自然と、美しい景色で一杯だった。
 人ものんびりしてるしね~

 そうすると、若者はそれに負けちゃなんねぇと抗う訳だよ。
 本屋に行っても「宝島」売ってねぇから取ってもらう。
 レコード屋は楽器屋と一緒になったのが1件。
 ここでGRECOのフライングV買ったんだよな~
 でもね、環境がそんなで生活してると、段々尖がってたバカ兄ちゃんも穏やかになっていくのよ。
 寝る前なんか、以前みたいにハードロックとかアングラロックとか聴かなくなっちゃうんだ。
 似合わないんだよ。
 必然的に谷山浩子とか聴きながら眠りにつく訳だな、これが。
 仕事中はラジオがお供で、小沢正一の小沢正一的こころがオキニだった。
 仕事も段々忙しくなってきて、冬になるまでは早朝から夜遅く迄オホーツク・北見方面をず~~っと走り回ってた。
 建築・土木関係の資材屋さんなんで、冬はヒマなのよね~
 そんな感じで日々の生活に追われながら生活してたら、気が付けば普通の社会人になってた。
 そんな中で唯一聴き続けてたのは、浜田麻里位だった。
 彼女の声は、理屈じゃなく生理的に大好きなんだね、きっと。

 その内に、こう言う暮らしも悪くないと思う様になっていき、仕事にも責任感が出て来て周りに認められ出すと、喜びを感じる訳で自然がいっぱいでROCKの欠片も無いのどかな
環境も後押しして、気が付いたら休みには長屋の裏の空き地を耕して花畑を作ったり、近所の温泉に行くのが楽しみな普通の、の~~んびりした田舎の人になっていた。
 いや~ね、凄く良い事なんだよ!
 1つも間違ってないんだけど、自分の中に流れている血を眠らせてしまっただけだったんだな~
 でも、それを呼び覚ますまでには随分と時間を要する事になるんだ。
 ここから14年程先までね。
 だから俺は日本でメタルが全盛を迎えた時代を知らないんだ。
 正確に言うと、知ってはいたけど体感していないんだね。
 そのブランクはメ学へ首を突っ込んで、これでもか! って程感じましたけどね。
 そうして俺のHR/HMの血は、一旦長い眠りについたのでした。


 第30回 テクノポリス

 高3の冬休みも、もう終わり頃だったと思う。
 ある日Nから電話がかかってきた。
 そう! Nって言うのは、おにぎり事件の包帯グルグルのNっす。
 聞いてみると、自分のベースをフィル・リノット風に(この当時はそう呼ばれていた)
 改造したから見に来ないか!?と言うものだった。
 しゃ~ないから行きましたよ。
「ほら、見てよ~!いい出来だと思わない!?」
 ・・確かにイイ感じに仕上がっていた。
「ふ~ん、ボディ黒く塗ったんだ。塗料何使った?」
「普通の黒のラッカースプレーだよ。ピックガードもミラーに変えたんだ!」
「ふ~ん、黒だけ?」
「そうだよ」
「ふ~ん、じゃあどうやって塗った?」
「え? それは、こうシューーって」
「コレお前やったんじゃねぇべ!」
「何でよ?」
「お前黒のスプレーしか使ってないっていったべ、でもコレ黒吹いた上からクリアーでコートかけてるべや」
「えっそうなの?」
「やっぱりな~!んな事だと思ったわ!お前がやったにしては仕上がりが綺麗過ぎるべよ。
 こう言うモン塗る時はよ、エッジを先に吹いてから面を塗るんだよ。
 でないとエッジが薄くなって塗り斑が出来るんだ。
 お前そんなの解ってねぇべ!?」
「・・知らなかった」
「模型作って13年のキャリアを舐めて貰っちゃ~困るべ! それで~誰がやったのよ。、コレ?」

「実はさ~小っちゃい時からの幼なじみで1コ下なんだけどSJ君ってのがいて、そいつ昔からスッゴイ器用なんだ~それで塗り方教わりに行ったらやってくれたんだよね」
「やっぱりな~でもそいつかなりだな!大したもんだわ!」
「SJ君昔からラジオとか自分で作っちゃうし、スピーカーも作っちゃうし凄いんだ」
「そいつ是非会ってみたいな~どうだ?」
「居るかな~?電話してみるわ!」
 どうやらSJ君は居たらしく、急遽会いにいってみた。
 Nの家から本当に近くて2・3分の所だった。
「おいおい!いきなり入ってっていいのか?」
「うん、いつもそうだから」
 流石幼なじみだね!勝手に入っていいんだ。
「SJく~ん、来たよ~」
「どうぞ~入って~」
 ドアを開けると至って普通な感じの、優しそうなお兄ちゃんが待っていた。
「初めまして、KAZZって言います。突然来ちゃって御免ね」
「いいですよ、そんな大したもん無いですけど」
 改めて部屋の中を物色する。
 ・・・こりゃとんでもなさそうだ!
 彼の本棚には、ズラ~~~~っと”ラジオの制作”って言う雑誌が並んでいた。
「この本何時から読んでるの?」
「こう言うの小っちゃい頃から大好きで小1の時からずっと読んでますよ」
「それで色々作れちゃう様になったんだ~」
「最初は簡単なラジオ位しか作れなかったんですけど、今は結構複雑なのも出来ますよ」
「もしかして、これも作ったの?」
「あ~そうですね、これでも中々いい音なんですよ」
 一見したら、高級そうなコンポステレオシステムなんだけど、ボードに文字が何も無いので自作だと判ったんだけど、性能が半端ねぇ~んだよ!

「チューナーとアンプは全部作ったんです。ラジオはAM/FM/短波も聴けますよ。アンプは一応ノイズカットとラウドネスも付けました」
「じゃあ、このカセットとプレーヤーは?」
「その辺は、壊れたのを貰って来て、色々併せて直したんですよ。カセットは元々はイイ物だから得しちゃいました!」
 そりゃ~そうだろう!俺も知ってるよ、Marantzって書いてるし。
「レコードプレーヤーは、何個か併せて組んでみたんですよ。カッコイイでしょ!?」
 正直とんでもなく高額に見えた。
 本で見た事あった様になってたんだよ!
 モーターと回転盤が別個でゴムベルトで繋がってて、アームも独立してて2本あるんだよ。
「本で見て、カッコイイなぁと思ったんで、真似して作ってみたんです。それっぽいでしょ」
 っつーか、総額うん百万の物にしか見えないんですけど~!
「直すのに少し部品代かかったけど、元はタダだから得しちゃいました!」
「他には何か作ってるの?」
「僕ギター弾くんで、アンプとかエフェクター作りましたよ」
 と言って見せてくれたのが、木で組んだ箱に綺麗に収まったエフェクターボードだった。
「こう言うの全部買うと凄く高くて僕には無理だから、でも作れば1万位で出来ちゃうんで見た目は売り物の様にはいかないけど、それなりにカッコイイでしょ!?」
 俺は思った、世の中は広い!こんなスゲェ~~ヤツがいたとは~!
「SJ君、アンタスゲェ~~わ!!参った!!素直に尊敬するわ」
「そんな~照れるな~褒めて貰って嬉しいです!じゃあコレも見て貰おうかな!」
 そう言って彼は1本のストラトを出して来た。

「ピックアップの所見て下さいね」
 そう言って彼が弾くと、ポールピースの部分に極小のマメ球が仕込んであってランダムに光るのだ!
「コレ、かなり難しかったんですよ、音の周波数に反応して光り方が変わる様にしてあるんです。 面白いでしょ!?」
「・・はあ~~・・凄い」
 そして更に驚いたのは、その時彼が弾いた曲がLOUDNESのSEXY WOMANだったのよ!
 しかもリードソロの所をサラ~~っと弾きやがった!
 まだ”誕生前夜”リリースされてそんなに経ってない時だぜ~!
 俺は思わず訊いた。
「SJ君LOUDNESS好きなの?」
「KAZZさん判ってくれました~!嬉しいなぁ周りの友達とか知らなくって」
「今のSEXY WOMANっしょ!もうコピーしたの!?」
「はい!誕生前夜は大体コピーしましたよ。LOUDNES知ってる人に逢えてよかった~!」
「俺も嬉しいわ~!!高崎もスゲェ~んだけどさ~二井原の声とか凄くないか!?」
 そこへ割って入る様にNが・・
「あの~俺そろそろ家に戻らなきゃ・・」
「あ~いいよ、ご苦労!じゃ~ね~」
 俺を酷いヤツだと思うなよ!ww
 そこからSJ君とLOUDNESS談義で散々盛り上がり、結局ご家族とも仲良くなって晩御飯まで頂き、夜9:00位になって帰った。
 それから2回位遊びに行ったかな~
 自分がバンドやってた時の事とか話したらやりたくなった様で、その後彼もバンドを組んで3月の頭位だったかな~1度見れたんだよね~
 スリーピースでボーカルがいなかったのもあって、インストオンリーだったけど”Into The Arena"やってくれたんだよね~!良かったな~~
 実はそれ以後彼と会う機会が無いまま時は過ぎ去り早30数年。
 彼今は何やってるんだろうなぁ~~
 会いたいな~そしたら俺のCDプレイヤー直して欲しいなぁ~ってそこかい!!(爆)


 第31回 カラオケかよ!

 俺は32才になっていた。
 あれから早14年も経っちまった・・・この間は迷走の時代だった。
 まるで所謂自分探しの旅でもやってる様なもんだったのかもね。
 まあ、んな事はどうでもいいや!
 ある日俺は実家に用事があって夜に尋ねた。
 それが週末、土曜日だったんだな。
 俺の両親は夫婦で居酒屋をやっていたんだが、当然土曜の晩なんで営業中っすわ。
 店の2階に住んでて、その隣の部屋に弟が住んでいた。
 預けていた物を取りに行っただけだったんで、帰ろうと思ったら弟が顔を出して寄って行けと言う。
 まあいいか、と思いちょいとお邪魔してみると、弟の友人達が数人集まって其々自前のコントローラーを持ち寄り”スト2”大会をやっていた。
 皆ゲーマーなのね。
 俺はテレビゲームは全く興味も才能も無い人なんで、見てもサッパリでつまんなかった。
 すると、その中の1人が話しかけてきた。
「あっどうも、お兄さんですか。よくウチの店でお見かけしますね」
 ・・ん? よく見ると彼はよく行くレンタルビデオ屋の店員だった。
「あ~~ビデオパークの~!いやいやそりゃ~どうも!」
 彼の隣に居たひょろっとしたヤツも同じレンタルビデオ屋の店員だよ。
 俺が借りるビデオがいつもマニアックな物ばかりなんで憶えていたらしい。
「お兄さん、SF・特撮とか、格闘技好きですよね!? ギーガーのアトリエ紹介のビデオ
 とか、藤波vs前田戦とか相当好き者しか借りないですよ~」
「えっそうなの?」
「そうですよ~マイティジャックのビデオなんか、お兄さんと僕位しか借りてないっすよ」
「それを判る君も相当の好き者って事じゃないの?」
「いや~~そうなんですけどね~~ww」
 そんな感じで話が弾んで盛り上がった。
 内心、アソコでアダルト借りてなくて良かった~とも思った。

 んな感じで話してる内に皆さんと打ち解けて仲良くなっちゃって、話の弾みでカラオケでも行くか~って事になったんだが、1人だけ固く拒んだヤツがいた。
 見るからにアニオタを絵に描いた様な風貌で、コレにソックリなのよ!

http://www.tagroup-web.com/dejiko/image/all.jpg

 左から2番目ね! そのまんま!
 人前で歌った事なんて無いし、だったら帰るとか言い出したんだけど、別に歌わなくていいから一緒に行って見てれば? って言って無理矢理連れてったのよ。
 まあ、そう言ったメンバーなんで、当然特撮・アニソン大会ですわな~
 どうやら皆さん、かなり鬱積したモノがあった様で、えらく盛り上がったのよ!
 俺は途中で気付いた。
 さっきのオタク君、Yちゃんって呼ばれてたんだけど、そのYちゃん当初はカラオケなんてって言ってたんだが、まさかアニソン大会になるとは予想していなかったんだろうね。
 ウズウズしてたんで、「1曲歌おうよ!」って振ってあげたが運の尽きよ。
 まあ、人が変わった様に歌う歌う!
 4連発歌いやがった!
 んでもって、歌い終わったらまるで眼つきが変わって何とにこやかな事ww
 その日は延長延長で結局4時間も歌いまくって、皆満足で帰った。

 翌週、弟から電話があって、「又カラオケ行きたいから来てくれないか?」と言う。
 流石に2週連続はキツイと思い断ったんだけど、その翌週も電話が来た。
 毎度断るのも悪いかと思い、行きましたよ。
 そしたらメンバーが増えておりまして、昔メタルバンドで歌ってたってヤツと、そいつが連れてきた若いギター君が1人。
 このメタルヴォーカル君、かなり声デカイし上手い!
 ギター君も、元はアニオタだったらしく、喜んで歌ってた。
 そうやって月に1~2度の頻度でカラオケ大会に集う様になっちゃって、Yちゃんなんか直接俺に電話してきて「お兄さ~ん、カラオケ行きましょうよ~~」って五月蠅かった。
 しかしだ! よく考えてみれば、歌うと言う行為そのものが俺にとってみれば10数年ぶりだった訳で、何度も誘われてる内に声も元に戻って来たりして、そうなるとすぐ調子に
乗る性格だから、仕事中に忘れかけてたボイトレ始めちゃったりしてね~
 そんな週末の宴がなんやかんや1年程続いたんだよ。
 お陰様で、ヴォーカリストとしての俺の声は完全復活!
 そうなると、コレ欲が出て来るんだよね~~
 当然の様に、人前で生バンドで歌いたい~~って思いが強くなってきたのでした~!
 そんな矢先に、ある事件が起きたんだよ~!


 第32回 プロデューサーなんかもうやらん!

 事件が起きた! 加湿器にコーラを・・・ゴホン 
 事の始まりは、1本の電話から始まった。
 かけてきたのは、いつもカラオケに行っていた元メタルヴォーカルのRからだった。
「お兄さん確かマクロス7好きですよね? 今度K楽器のイベントでミレーヌ(ヒロイン)の声やってる桜井智が釧路に来るみたいですよ!行かないんですか?」
「ふ~~ん、そう言われても分からんな~」
 折角連絡くれたのに、そっけない返事。
 って言うのも、確かにこの時期俺は”マクロス7”っつ~アニメに嵌ってた。
 何故かっつ~と、劇中で使われている曲が俺的に気に入ってたからなんだよね~
 ここ1年余りカラオケ行って歌いまくった結果、声も大分戻って来て普段でも発声やらリップロールやらやり出して、そしたらメタルへの興味も少~しだけ復活してきたんで、
今時はどんな感じになってるんかい? とそれとな~く探ってみたら、日本じゃガッツリX JAPANっすわ!
 洋楽だとメタリカさんを筆頭にスラッシュしてたりガンズだったりデスメタルとか言って、聴いてみたらグアグア怒鳴ってるだけで歌じゃねぇ~し。
 当時の俺としては、自分の感性にピンっと来るのが無かったんだよね~
 そりゃそうだ! 頭ん中が浦島太郎だもんね~ww

 そんな時にたまたま見ちゃったのが”マクロス7”で、喋りと歌は別の人が声を充てていて、俺は歌の方が気に入っちゃった訳っすよ!
 福山芳樹って人が歌っててね、彼は現在JAM PROJECTのメンバー、以前にはすぅさんともコラボしてるんですね~

SU w/ JAM ( audio ) - Nov.4 2013
https://www.youtube.com/watch?v=8tCXVYRATWk

 最初の画像の一番左の人が福山さんっす。
 っで、俺のツボはそこだった訳で別に声優さんは正直どうでも良かったんだけど、K楽器ではその”マクロス7”のLDをたまたま買っていたので、新しいのが来たと連絡もあったんで
取りに行くついでにちょいと訊いてみるか~って軽~いノリで行きましたとさ。
 行ってみた所、偶然そのイベントの会議をやってるよって店長さんが言う訳よ。
 覗いてみればいいっしょ!
 そう言われるままに俺は店の奥の事務所に通された。
 そこには、どう見ても10代~20代前半のオタクっぽい兄ちゃん達が数人いて、店長さんに紹介だけされて、黙って話を聞いていた。
 話しの流れで判った事は、この連中はアニメ関係のこの店の常連で、これまでも2回程この様なイベントをやって来たらしく、その度にボランティアで進んでイベントを
運営していたらしい。
 中心人物は、大学3年のO君で彼がプロデューサー的役割をやっている様だ。
 今回の議題は、イベントの総時間3時間中、桜井智が出演するのは最後の1時間のみ。
 前の2時間をどうする? って内容だった。

「前のもやった様にビデオ上映会でいいんじゃない?」
「え~~2時間もやったら飽きちゃうんじゃない?」
「じゃあ他に何かいいプランあるの?」
「う~~ん・・・」
 同じ様な問答が3回位繰り返された所で、いい加減しびれが切れた!
「チョットいいかな? まずさ~このイベントの予算ってどうなってるの?」
「それは店長じゃないと判んないです」
「まずそっからじゃない!? 動かせる金額からやれる事割り出さないとダメじゃね?」
「店長に訊いてきます」
 店長がやって来た。
「KAZZさんが訊いたのね。その辺あまり気にしないでいいのよ。まず企画が出来たらどの位何にかかるか言ってくれれば、私が何とかするから大丈夫よ」
 ・・納得!結構太っ腹なのね! 話は進みます。
「確かにビデオ上映会で2時間はキツイべさ、せいぜい1時間だな~それを中に入れてまずとっぱじめは、イベントに勢いをつけられる様なインパクトのある企画が
欲しいとこだね」
「KAZZさんでしたっけ? 何かいい考えあるんですか?」
 ・・来ると思ったぜ! 既に俺の頭の中じゃ点と点が線で繋がっていたのじゃ!
「題して”俺の歌を聴け! アニソンカラオケのど自慢大会”ってのはどうよ!?」

 この”俺の歌を聴け”ってフレーズは、マクロス7の主人公の決め台詞なんだよね。
「お~~! それ面白いっすね~! でも本当に出来ますかね?」
「凄く面倒じゃないですか? 僕出来そうも無いですけど」
 どうしてオタクってこうイジイジして、一々否定的なんだよ!!
 否定するなら、それに代わる代案出さんきゃ話が先に進まなねえべよ~~!!
「それじゃさ、俺が企画を具体的に立ち上げたら動いてくれるか?」
「あ~~何をすればいいのか指示してくれるんなら、やります」
 ・・成程、コマとして動くのは得意だが、ブレインがいないと烏合の衆って訳か。
「分かった! その企画俺が全部引き受けるわ。上映会からメインイベントまでのコッチでやるべき仕事と人材の割り振りはO君やってくれるね!?」
「はい、わかりました」
「じゃあ、1週間後の土曜日までにプロットまとめて、割り振ったメンバーにも事前に連絡してOK貰っといて」
「了解です!」
「じゃあ俺は、同じ日までに今の企画立ち上げるんで今日はこれで解散!」
「お疲れ様でした~~」
 ??え?この流れってもしかして俺完全に噛んじゃったよね!?
 やべぇ~~~!! やっちまったぁ~~~!!
 だってさ~~見てたらイライラするんだも~ん!
 黙ってらんなかったんだよ~~
 しかし、言っちまったもんはしゃ~ない!
 やる事はヤルぜぃ!
 まだXデーまでは40日程ある、俺のプランはこうだ!

 まず店頭に告知のポスターを貼り、その後カラオケ出演の応募用紙と投函用のポストを設置。
 その後某カラオケBOXにてオーディション、その場で結果発表し、出場者を決める。
 オケは、カラオケ機に入ってないものは、各自自前で用意する事とする。
 ポスター・用紙・ポスト全部自分で作った。
 カラオケBOXの手配・審査も全て俺がやった。
 本チャンで必要な看板やらポスター、物販ブースの手筈に至るまで俺が中心になって店が終わってから、メンバーを集めて用意・製作した。
 ここで俺がビックリしたのは、連中結構使えるって事だ!
 其々得意技を持っていて、それを生かす様な仕事を与えると期待以上の働きをするんだよ。
 っで褒めるとどこまでも付いて来るのね。
 知らん内に俺はオタクの親分みたいになっておったそうなww
 そうして日々が過ぎて行き、イベント当日がやって来た!
 お店の利害は絡んじゃいるが、ノリは完全に学祭だ!
 俺は成り行き上、大会の司会をやる事になっていた。
 しかもだ! この大会のトップバッターで自ら歌っちゃうんだな~これが!!
 実はコレをやるにあたって、カラオケメンバーで来ていた若いギター君にギターの部分だけ生で弾いて貰う様に頼んで練習していたんだよね~
 っで実はコレがきっかけで、彼とはその後4年位の間一緒にバンドを組む事になるんだ~
 さあ、はっじまっるよ~~!

 俺はマクロス7の主人公、熱気バサラのコスプレで登場だよ!!
「皆~今日はこのイベントに集まってくれて、本当に有難う!! サイコーに嬉しいぜ! 後からミレーヌも来るから、最後までギンギンに乗ってくれよ~~いいか~~!?」
「お~~~~~~~~~~~!!!!」
 観衆のレスポンスがスゲェ~~!!
 後から店長に訊いたら、イベントの半チケざっと数えただけで600は軽く超えてたらしい。
 市内で一番デカイイベント会場を抑えての開幕だ!
「それじゃ~オマエ等、まずは・・俺の歌を聴けぇ~~~~!!」
 ギターが1弦22フレットのチョーキングからハウリング、そして曲が始まった!

Fire Bomber - Holy Lonely Light
https://www.youtube.com/watch?v=YFJbIAAYQx8

 アニメのイベントとは言え、こんだけ沢山のオーディエンスの前で歌ったのは初めてだった。
 殆どのヤツがアニメ見てるからレスポンスが半端ねぇ!!
 最高に気分良かったぜ!!
 そしてイベントは順調に進み、最後は会場も含めて全員で”突撃ラブハート”って言う劇中歌を合唱して喝采の内に終わった。
 イベントは最後まで大盛況で、店長も過去最大の物販売り上げだと喜んでいた様だ。
 歌ってくれた出場者には、全員にお似合いの名目の賞を付けて、桜井智さんから賞状と記念品授与をして頂いた。

 余談だが、何や言うてもやっぱプロはスゲェ~~!
 智さん歌も3曲程歌ったのだが、上手い! 声が通る!
 正直ビックリした!
 俺の中じゃ、レモンエンジェルのイメージしかなかったから、やっぱプロは違うわ!
 その日の晩は店長さんのはからいで、打ち上げしゃぶしゃぶパーリーとなった。
 皆満足気で、目がキラキラしていた。
 読んでいて分ったかもだけど、マジでスーパー大変だったんだよ!!
 今迄で2番目に大変だった!
 1番は後にこのエッセイで書きますので~
 でもまあ、いい経験でしたわ!
 お陰で変な? 人脈も出来たしねww
 実はこの事がきっかけで、俺は自分で商売を始める事になるんだが・・・


 第33回 NONMALT

 実はこのイベントに絡む前から兆候はあったんだ。
 この当時俺が働いていた職場は、人間関係が劣悪だった。
 自分で言うのも何だが、俺人付き合いはそんなに下手じゃないと思うんだけど、そんな俺でも限界突破する程の環境だった。
 それでも我慢に我慢を重ねて仕事に従事していたのだが、ある日限界を越えた。
 強迫神経症、医者の診断はそうだった。
 独りでほっとくと、死にたくなっちまうんだよ。
 辛うじて入院するまでには至らなかったものの、通院・投薬は必要な心の状態になっちまった。
 それから社会復帰するまで約4カ月位かかった。
 このまま会社に戻っても、元の木阿弥だと悟ったので、辞めた。
 でもその間色んな事を考えていた。
 自分の親は、俺が産まれた時には既に自分で商売をしてたんだ。
 それを見て育ってきたんで、客って存在に対しての対応とか接し方は知らない内に身に付いていた。
 それに加えて俺は親父似の根っからの職人気質で、自分の仕事に妥協が出来ないのよ。
 っで、考えた末辿り着いたのが、この際自分で何か商売やってみようか!って事。
 医者からもOK出た所で俺はその準備にかかる。

 まず何を具体的にやりたいのか?
 その為にはどういうスタイルが妥当なのか?
 考える時間はあったんで、悩んだ末独りで飲み屋をやってみようと結論づけた。
 そのコンセプトは、自分の中にある好きなモノ・やりたい事を全部突っ込んでみようかと言う所に辿り着いた。
 方向が決まってからは、早かった。
 開店の為の事業計画書を作成して、それを元に金を借りる算段を立てる。
 店舗として良さそうな物件探し。
 この時点では、色んな事をアドバイスされて結構迷った。
 俺はよく札幌に趣味で集めていた物を買い付けに行っていたんだけど、その事を話すと「絶対札幌でやった方がいいよ」と言うんだよね~
 だから一応調べたのさ。
 ・・でもね~都会は物価が違い過ぎるのよ!
 開業資金が桁1つ違うんだもん!
 コッチは手探り状態でやってる身だからさ~流石に怖かったもんな~
 しかも俺がやろうとしてる様な店って、この当時始まったばかりのネットで検索してみても、誰かに訊いても無かったんだよね~
 参考に出来るものが無いまま結局場所は釧路でやる事に決めた。
 後になってみれば、札幌か東京でやりゃ~成功してたのかも知れんけどね~??

 金は何とか用意出来た!
 後は自分の頭の中にある完成形を実体化させるだけだ!
 特撮・アニメ・玩具・レトロ・車バイク・ROCKそれを全て一つの店舗に突っ込む訳だ。
 場所は紆余曲折の末、何とか決まった。
 大家から店の図面をコピーさせて貰って改装の為の図面をひいた。
 あまり金をかけたくないから、細部は自分で作り込んだ。
 最後の店内のディスプレイ・機材の配置は全て自分独りでやった。
 開店は1996年11月26日、それまで後1週間、俺はこの開店前日まで丸6日間一睡もしないで準備に明け暮れた。
 6日目なんか、買い物に行って店内を歩いてる内に目を開けて歩いてるのに寝てるんだよ。
 その日の晩、店内で飾り付けしてたら知らん内にぶっ倒れて、気が付いてみたら小人さんが、訳分からん物の配置をしておったww
 っで、何とか開店にこぎつけた訳だが、これは実際に商売をやってみて判ったんだけど店ってのは客が作るもんなんだね!
 当初はビールをメインにするつもりだったが、メニューに怪獣の名前でオリジナルのカクテルを載せたら、それが評判になって客の要望に応えてたらカクテルバーになってた。
 オリジナルのカクテルが101種類も出来ちゃった~
 ディスプレイも最初はレトロ感を結構出してたんだけど、客がコレも置いてくれって色々持って来る内にアニメキャラのオモチャが増えちゃって”まんだらけ”みたいになってくるし、それじゃあ少しキツイなぁと思って2年経った頃にROCKを思い切って多めに出して
みたりしたんだけど、やっぱ店のカラーって客が作って行くもんなんだね~
 あっそうそう、この店の名前は「ノンマルト」って言うんだけど、由来はウルトラセブンの第42話「ノンマルトの使者」から取っていて、M78星雲では”本当の地球人”って意味
なのよ。
 俺はこの話が好きで店の名前にした訳っす。
 自分の趣味をありったけ詰め込んだ結果、色んな人が来る様になった。
 前述のイベントで知り合ったアニオタ君達、特撮・SF好きのオジサン、車・バイク好き、レトロマニア、メタル好き、フォーク・昭和歌謡が好きなオッサン、そしてこの商売に
付物の俺目当ての女性客。
 今思い返せば、ビジネスとして考えるなら全くの落第点! でもこれまでやってきた仕事の中で一番楽しかったですね~(^^)
 仕事をしてるって感覚が全く無かったもんww
 んで、何故こんな話をするかって~と、この店を始めた事がきっかけでこの後これまでの人生で一番ライヴをやる事になるからなんだよ!
 しかもメタルなんだよな~これが!


第34回 またっすか!?

 店を始めて数カ月、ある日K太君がやって来た。
「ど~も、今晩は」
「あらK太君、いらっしゃ~い。 今日は独りなの?」
「はい・・アイスコーヒーください」
・・K太君はお酒呑めない君なんだよね。
 ウチに来ると大抵アイスコーヒーかコーラなのよ。
「はいよ~冷コお待ち~」
 最初は他愛もない世間話してたんだけど、ようやく本題を切り出した。
「実はですね~お兄さんに折り入ってお願いがありましてですね~」
「イントロ長いわ!っで、何でしょう?」
「今度”まなぼっと”の展示ホールでコミケがあるんですけど、そこの出し物で桜井智のイベントでやったのをですね~又やるんですよ」
「あ~もしかして”アニソンカラオケのど自慢”かい?」
「そうなんですよ~ それで何とかお兄さんにも出て頂けないかな~と思いまして~」
「メンバー足りないの?」
「そうでもないんですけど、こう・・インパクトが足りないかな~と思いまして~」
「本当かね!? もうコスプレとかやんないよ」
「あ~それはいいんですけど、ダメですかね?」
「何歌えばいいの?」
「え~”愛を取り戻せ”と”マジンガーZ”です」
「決め打ちしてんじゃん! ww 分ったよ、お手伝いしましょう」
「え!いいんっすか!? じゃあコーラください」
「wwwゲンキンだねぇ~  はい、おまち~」
「あっど~も。 この輪切りのレモンが付いてる所がいいんですよね~」
「それで、何時やるの?」
「え~っとですね~・・日曜日」
「K太君、今日は何曜日かな~?」
「金曜日です」
「もしかして、その日曜日って明後日の事かな~?」
「ヘヘ~~、そうです~(;^ω^)>」

「・・・ハイハイ、分かりましたよ、それで何時に行けばいいんですか?ww」
「コミケは10時からなんですけど、そのイベントは11時からなんでそれまでに来てくれれば~」
「了解です。 2曲共フルでいいのかな?」
「お願いします~」
 その後は軽くメタル談義をして、後から来た客と談笑してK太君は帰って行った。
 Zはいいけど、愛を取り戻せはちゃんと憶えなきゃだな~
 まあ日本語だし、大丈夫っしょ!
 そして当日がやって来た。
 流石に土曜だけあって閉店が遅かった!
 日曜の朝6:00まで攻めらちまったよ~
 でも店に泊まって4時間位は寝られたんで、まあまあっすかね。
 そして会場へ。
 10:50位に着いたんだけど、おりますな~こんな田舎だと言うのにオタだらけだ~~
「あっお兄さん待ってました~ ここですよ~」
「お~!・・ふ~ん、ちゃんとステージ作ったんだね」
「はい!朝9:00に来て設営しました」
・・気合い入ってんのね。
「所で俺の出番は何時?」
「あ~お兄さんはトリなんで12:00近くですね、きっと」
「あの~トリって初耳なんですけど~」
「あれ?そうでしたっけ~ まあ、いいじゃないですか~!最後にインパクトのあるヤツをド~ンっと・・ね!」
・・ね!じゃねぇよ。

 まあ来ちゃったもん、しゃ~ねぇか。
「それでリハはどうすんの?」
「リハは無いんですよ」
「え!?ぶっつけ本番かよ!」
「・・お願いしま~す」
・・色々萎える~ww
 とりま暇なんで、何気に会場をブラブラしてたら気が付いた事があった。
 こう言う連中にも派閥らしきモンがあるらしい。
 特に腐女子の皆さんに。
 この会場には2つの派閥があって、K太君がやる出し物に出演する連中は全員片方の派閥の奴等で、もう1つの派閥の連中はそれが面白くないらしい。
 そいつらのブースの近くで黙って聞いてたら、悪口三昧だったもん。
 ん? 気が付いたら俺見られてる?
 あ~そうね、俺1人だけロン毛でメタラーな恰好だもんね~
 皆さ~ん、これはコスプレじゃありませんよ~ww
 ステージでは、思い思いのコスプレで若者達が歌っておりましたわ。
 っで、全曲K太君がギターだけ生であててたのよ。
 な~る、コレがやりたかったのね。
 お! そろそろ20分前だ!
 トイレに急いで駆け込み、リップロールと発声をば。
 5分程で会場へ戻る。
 おっK太君が手招きしてるぞ!
 そろそろ出番の様っす。

 実はこの時ある考えが閃いていた!
 当初は原曲通り水木のアニキ風・クリキン風で歌えばいいかな~って思ってたんだけど対立してる派閥の連中ビックリさせてやろうかな~と思って、急遽2曲共思いっきりメタル全開で歌ってやろうと決めました。
 理由は、そっちのブースの幾つかでX JAPANの同人やってるのとか、LAメタルの連中を美形化して描いてる同人のブースを見っけたからなのよ。
 おっと、俺の出番だ!
 最初は”マジンガーZ”か。
 これはね、オクターブ上げて思いっきり声歪ませて歌いましたよ!
 案の定、皆ビックラこいたべさ!!www
 ん~これは貰った!
 この調子で”愛を取り戻せ”も全開シャウトで気分はスラッシュで決めてやりました。
 終わったんで、帰ろうと思ったら例のブースの娘達がやって来て
「さっきの歌カッコ良かったです! もしかして本物のメタルバンドの人ですか?」
「ん~まあ、一応ね~アマチュアだけど」
「Xとかも歌うんですか?」
「いや~歌った事ないし、TOSHI声高いからな~」
「又やってくれますか?」
「う~ん、それは分んない。今回は頼まれただけなんで、それじゃ、この辺で~」
 黒ずくめの腐女子の皆さんに見送られて、俺は会場を後にしましたとさ。
 腐女子の皆さん御免なさい。
 わりぃ~けど、もうやんねぇ~わ、きっと。ww


 第35回 もう、よくね!?

 俺が”ノンマルト”を開いた時は丁度エヴァの全盛期!
 店のディスプレイのせいもあって、その手の好き者達が集まって来ちゃった。
 まあ、そのお陰でかなり店が潤ったのも事実なんだけどね~
 っで、その噂はこの界隈で同じ位の世代の連中がやってる店にも伝わっており、俺の知らぬ間に”そう言う店”って事にされていたらしい。
 あながち間違っちゃいないんだけど、ソコばっかりクローズアップされると困っちゃうんだよね~
 店の間口がドンドン狭くなる。
 そう言う同業者の中でも仲の良かったのが「 GASOLINE ALLEY」と言うロックバーをやっているTAKAってヤツで、よく店の開店前に飯を食いに行ってた。
 当時はコッチの方が俺の店より開店早かったんだよね。
 TAKAは俺より年下、丁度TMさんやKOHAちんとかと同じ世代だね。
 でもこの商売に関しては全然先輩だし、ROCK全般に詳しかったりで結構リスペクトしてたんだ。
 当時はROUGH DRIVE TRUCKって言うバンドもやってて、作詞・作曲も彼がやってた。

https://twitter.com/muddy5150

 もしツイートするなら”元ノンマルトのマスターから聞いた”って言えば、思い出してくれるかもね!?

 っで、ある日の事俺のとっての朝飯を食いに行った所こんな話しが・・
「今度、何バンドか集まってライヴやるんだけど出ない?」
「え? それはどうかな~ 今固定のバンド組んでないし」
「あの速弾きのお兄ちゃんは?」
「ん?・・あぁK太君の事かい、最近チョイチョイ一緒にやるけど無理じゃない? でもどうしてよ? ラフドライヴ出るんでしょ?」
「うち等は今回出ないんですよ。それで誰か出られる人いたら教えてくれって言われてるんですよ」
 そしたら何と都合のいい(悪い)展開! 話題の人が来ちまったよ。
「こんばんは~ あれ!?お兄さんじゃないですか! どうしたんですか?」
「それはコッチのセリフだわww最近来てるの?」
「はい、お兄さんに教えて貰ってから時々きてますよ」
 K太君、これはあまりいいタイミングではないな~そんな予感がしていた。
「お~いい所に来たね! 今丁度ノンマス(当時同業者の間ではそう呼ばれていた)に話してたんだけど、K太君だっけ? ライヴ出ないかい?」
「え? 僕がですか? どんな面子なんですか?」
「今決まってるのが3バンドで全部ロックだね~どうだい!?」
「ん~いいですけど何やればいいですかね~? 今ちゃんと練習してないし」
 そしたらTAKAがとんでもない事を言い出した。
「アニメタルとかやったら!?」
 ご存知の方も多いと思うが、この時期大ヒットを飛ばし世間を席巻していた最中のこの発言!
 ウチの店でも連日かけてましたよ! リクエストも多かったしね~
「・・アニメタルですか~面白いですね~ お兄さん、やります!?」

 やっぱ俺に振られるんだよね~
「他の、メンバーどうするよ?」
「それは僕の方で声かけてみますよ」
「弟とIKさんか?」
「ww当たりです~だからきっと大丈夫ですよ」
「成程ね、じゃお任せしますわ」
「お~何か決まったみたいでしょ!それじゃ主催するヤツに連絡していいですか?」
「一応メンバーの了解取れたら改めて連絡するわ。それでいいかい?」
「分かりました」
 っでね、結局メンバーも揃って出る事になったのね。
 アニメタルは良かったよ!
 懐かしいジャパメタの連中も見れたし、ヒーローソングとメタルって曲の組成がよく似てるからメタルアレンジしてもカッコイイ訳よ!
・・でもさ~この流れでアニメタルカヴァーとかやったら完全に色着いちゃわね!?
 そろそろアニソンよくね!?
 今回メンバーに参加する2人はね、ベースがK太君の弟で実はかなり上手いんだ!
 ドラムは通称IKさん、普段は畳職人でこの当時でも珍しいかなりのロン毛で見た目はジョン・レノンっぽいイケメンさん。
 酒と樋口宗孝をこよなく愛し、ツーバスペダルを使ってもワンバスに拘る男ですww
 結局この後もこの面子でバンドやってく事になるんだけどね~
 本番は2週間後の日曜日の19:00、曲はアニメタルをほぼそのまんまって事で各自練習スタート!
 しかしだ! 俺は他の皆と生活時間が逆転してるでしょ!?
 しかもこの当時は基本年中無休でやってたもんで、音合わせもヴォーカル抜きでやって貰ってたのよ。
 K太君が店が暇な時間に来てくれて、仮の音合わせを少~しはやれたかな~?

 割当てのチケを売らなきゃならんかったんで、店で宣伝した所反響が大きく殆どの常連さんが買ってくれたんで、あっちゅう間にノルマ達成!
 ちゃんとライヴにも来てくれたんだよ!アリガタヤ~
 そしてライヴ当日、俺達はニューカマーなんで、とっ始めの出演だからリハは一番最後で18:00位からだったかな~確か。
 メンバー全員で合わせるのはこれが初めてっつ~タイトロープな初陣ですが、意外とイケルぜ!
 MCの入りとか色々打ち合わせてたら、あっと言う間に本番ですわ!
 もう、ここまで来たら本気出すですよ!
 本番はこんなセトリでやりましたとさ!
・ガッチャマン
・海のトリトン
・たたかえ!キャシャーン
・銀河鉄道999
・コンバトラーV
・ゲッターロボ
 来て頂いたウチの常連さんには大好評! でも他のオーディエンスはみんな口ア~ングリww
 まあいいさ!
 こん時は、打ち上げには参加せず、常連さん皆ご招待で自分の店で軽~く打ち上げやって解散でしたよ。
 あっそうそう、一応アニメタルを知らない方の為に、まあこんな感じっす!(;^ω^)>

ANIMETAL MAZINGER Z
https://www.youtube.com/watch?v=XtIg7DYpHR4

 中々モロメタル来ないね~次回は・・メタルじゃないのよwww  じゃ!


 第35回 ARB

 ウチの店に最近来るようになったカップルの客がいてさ、女性の方は何でも青森出身で婆ちゃんがイタコで自分でも学習塾を経営がてら占いをやってるんだと。
 っで男の方は、どうやらこの女性のヒモっぽいんだよね~
 昔雑誌に自分の描いた漫画を連載していたと言う経歴はあるみたいなんだが今は何も仕事してないみたいだし。
 何か同棲してるみたいだし。
 んな事はどうでもいいんだが、この二人がある日俺にこんな話を持ち掛けて来た。
「マスター実はね、今度国際交流センターの別館を借りて大人の文化祭をやろうと思うのさ。それでお願いなんだけど、出張販売でお酒出して欲しいんですよ」
「ふ~ん、っで時間は?」
「1か月後で日曜日なんですけど、9:00~17:00迄なんですよ、どうですか?」
「ん~~ビールとか、パッと出せる物でいいのかい?」
「そこなんですけど、出来ればカクテルをお願いしたいな~なんて」
「めんどくせ~なぁ、だってここにあるリキュール大体持ってかなくちゃいけないんだよ~ それに昼間っからカクテル呑むヤツなんているかな~?」
 その建物の内容は知っていたんだ。
 中にキッチンもあって、冷蔵庫も完備されてるし形がオープンキッチンだからカウンターテーブルみたいな作りにもなってるし、恰好はつくんだが~?
「そこを何とかお願いしますよ~こっちはマージンとか一切いらないんで」
「あのさ~その拝むのはやめてくれるww 分かりました、じゃあやってみますか」
「あ~良かった!マスター有難う~」
「それで具体的にどんな事やるの?」
「僕が描いてたマンガの原稿を展示して、彼女が占いコーナーを担当して、後は他のお店のマスターにも頼んでるんだけど、何か作ったり描いたりしてる人を募って作品を展示する予定です」
「ふ~む・・例えばダンスとか音楽の発表とかはないの?」

「え!?・・そうか~考えてなかったな~ 文化祭だし必要ですよね~」
「まあ、個人で主催するものだから自由でいいと思うけど、イベントとして客も集めやすいし、盛り上がるんじゃない?」
「そうですよね~どうしようかな~? そうだ!マスターやりません!?」
「えっ俺?」
「だってバンドやってるじゃないですか~!どうですか?僕見たいな~!」
・・ん~客だから言わんけど、コイツ薄っぺらいな~ ・・・待てよ。
「それやるわ! 時間3~40分でいいよね?」
「やってくれますか!嬉しいなぁ」
「だからライヴの間はお酒出せないよ、いいかい?」
「はい、OKです!じゃあ決まりって事で、マスターワイン1本下さい、乾杯しましょう」
 んな訳で1ライヴ決定~
 実はさ、丁度2日前友達の店でアフターで呑んでた時、ARBの話題で盛り上がって一回ライヴやりたいよね~って話してたばっかだったのよ~
 昼間だけど、会場タダだしチケ売らなくていいし、持って来いだわ!
 っで早速その話を閉店後、その友達の店で働くT君に話しに行ったら、そりゃいいね!
 って事で、ギターとヴォーカルは決定!後はベースとドラムだけど、こんな時はまずK太君に振ってみるんだな~
 すると以外にもARBやってみたいとな! しかも自分がベースやるとな!
 弟から借りて是非やりたいって事であっさり決まった。

 さてIKさんにTelしてみっか。
「・・・そう言う事なのよ~IKさん、ドラムやってくんない!?」
「いや~~だって日曜の昼間でしょ!?前の晩、酒呑めないじゃないっすか~」
「しょうがないなぁ~じゃあ、ライヴ終わったら酒ご馳走するよ、鏡月でいいんでしょ?」
「えっマジで~~!一杯呑んでいいの?」
「ボトルごと預けるよ」
「お~~了解です!!ARBは俺も好きだから、曲決まったら連絡下さい」
 今回はお気楽なの!だってお金取らないからクオリティとか気にしないでいいし~
 曲決まったら各自練習で、ぶっつけ本番でいいよね! って事で話はまとまった。

 そして当日、俺は大変だったのよ!
 店終わったのが6:00位で、それから飯食って、出店の材料運んでなんやかんややってたらあっちゅう間に9:00を回ってた。
 会場はオープンですわ。
 っつっても、そんなこっ早くから人なんか来ないっしょ!・・って思ったらそうでもなかった。
 どんな宣伝手段使ったのか知らんけど、ボチボチ人が入って来た。
 10:30位には、ソコソコ賑わってたんだよね~分からんもんだわ。
 っで俺らのライヴは11:00スタートって事で、おっ来た来た!
 メンバーがやって来ましたよ。

?K太君マスクしてるよ?
「いや~参りました~ 風邪ひいて熱出ちゃって、チョットキツイっす~」
 あらあら、大丈夫かしら?
 IKさんは元気っすね(^^)
「お兄さん、マジで鏡月呑めるんですよね!?ドラムはバッチリっすから!」
 ん? T君の様子がおかしい?
「すんませんマスター、さっきまで営業で酒抜けてないっすよ~」
「大丈夫??」
「ん~~何とか~ マスター申し訳ないんっすけどアーリー一杯貰えませんか?」
 アーリーって、アーリータイムスの事ね!
 成程、迎え酒でテンション上げようって作戦か。
「はいよ、ロックでいいんだよね」
「良くお判りで~・・・・ウ~シ!頑張るっス!」
 軽~く音出しして、ライヴ始まりました~~!
【セトリ】
・TOKYO OUTSIDER
https://www.youtube.com/watch?v=LM_fTUxeMGY
・トラブル・キッズ
https://www.youtube.com/watch?v=fUjeDb_7RL8
・ Holiday
https://www.youtube.com/watch?v=no2ZT7GUQsk
・After45
https://www.youtube.com/watch?v=q85bVFC8GHQ
・ユニオン・ロッカー
https://www.youtube.com/watch?v=LlSUpP1mlr0
・魂こがして
https://www.youtube.com/watch?v=n25TUaQz2_0

 出来はね~まあまあかな~ww
 T君が可哀そうに少~ししんどかったみたいね~
 
 そしてライヴは終了~・・と思ったら、K太君何か調子上がっちゃったみたいで
心配して迎えに来てくれた弟のU君に
「お前ベース弾け」
 とか言って俺に即興でメタルやろうって言うんだよ~
 IKさん見たらOKサイン出してるし、しゃ~ない やっか~~!!
 っで、やりましたよ~
・Smoke on the Water
https://www.youtube.com/watch?v=zUwEIt9ez7M
・ Jawbreaker
https://www.youtube.com/watch?v=tormYU27Ldk
・ CRAZY DOCTOR 
https://www.youtube.com/watch?v=4JXiCrJTb7c
・face the truth
https://www.youtube.com/watch?v=Jz2HJIwXE7E

 もうね、即興にしてはコッチの方がGOODでした~~(;^ω^)>
 見ていた皆さんも乗ってくれましたしね~
 ここに来てようやくメタルやれたよ~~
 あ~~良かった!


 第35回 やっとメタルだよ!

【はじめに】
 実は今回の話し、全く記憶から飛んでたのよ。
 全然思い出せなかったんだけど、このエッセイ始めてから毎日記憶の掘り起こしを
やってきたお陰で、思い出せちゃったんだよね~~
 やっぱ頭は使わなきゃダメっすな!
 っつ~訳で、本編行いっくよ~~!

 寒い季節も終わって早4月、来月には釧路にも桜かぁ~とか思ってたある日の事。
 店に珍しい客がやって来た。
「チィ~~ッス!」
「いらっしゃ~いって、IKさんじゃない! 珍しい、どうしたの~?」
「いや~~チョットね~ まずはビール下さい」
「はいよ~!IKさんはクラシックで良かったっけ?」
 IKさんとは店をやる前からの知り合いで、開店の時来てくれたっきりだったから店で会うのは数カ月ぶりだ。
 まあ、ライヴの関係で何度も会ってるんだけどさ~
「っで、本日は何用ですかな?」
「ん~めんどくさいからハッキリ言うと、KAZZさんチューリップフェアに出ないっすか?」
「ほ?チューリップフェアに出る??俺にチューリップ娘をやれと?」
「www違うっすよ!市の企画で鶴ヶ岱公園の野外ステージでライヴやってくれるバンドを探してるんっすよ。 俺の友達がそっちに絡んでて、頼まれたんっすよね~」
 釧路では5月に市の主催でチューリップフェアって行事があるのね。
 そのメイン会場が鶴ヶ岱公園って所でね、常設の野外ステージもある訳ですよ。
「ふ~ん、っでメンバーはいつもの4人かい?」
「それがっすね~俺に話を持って来た友達がギターやるんっすけど、ソイツが一番乗り気で俺も出たいって事なんですよ~」
「ほう、その彼、結構弾けるの?」

「まあ、ソコソコ弾けるんじゃないっすかね~?ソイツはスラッシュ好きなんっすよ」
「スラッシュ!?俺聴いた事ないけどメタリカとかかい?」
「そうっす!後メガデスとか、日本だとフラットバッカー大好きっすね~」
「お~~!俺もフラットバッカーは好きよ~ んじゃ、アレだ!ツインギターでやる形だね?」
「そうっすね、KAZZさんメタリカとか大丈夫っすか?」
「う~ん、聴いた事無いけどいいんじゃない!?そっちの方で行くんなら曲はIKさんに任せるから、決まったらテープに入れて来てよ」
「分かりました!K太の方には俺から連絡しときます」
「宜しくね~ ふ~~ん、メタリカかぁ~」
 まあ、名前位は知ってたけどちゃんと聴いた事ねぇよな~
 何せ俺の中じゃ70年代でHR/HM止まってるもんな~
 遂に俺にも新時代の波がやって来るのか~
 他にどんな曲持って来るかな~~ チョット楽しみではあるなぁ。

 いや~IKさん以外に仕事が早い!
 それから4日位でテープ持って来たよ。
「コレ例の友達が作ってくれたんすよ。 曲名とバンド名は中に入ってる紙に書いてあるって言ってました」
「分かった~~ どれどれ~・・」

 やっぱりね~俺が分るのはコレだけだわ、ジューダスのHELL BENT FOR LEATHER。
 ん!? 待て待て!! 何ぃ~~~!? コレどういう事???
 何でピストルズのGOD SAVE THE QUEENが入ってるの??
「ねえIKさん、このGOD SAVE THE QUEENってどう言う事?」
「あ~それはっすね~ソイツがどうしても一回メタルアレンジしてやってみたかったらしいんっすよ。 俺もキツくねぇかって言ったんっすけど、どうしてもやりたいって言うもんっすから~・・いいっすかね、KAZZさん?」
「成程ね~そう言う事ならやってみますか~! 俺はOKよ!ピストルズ大体歌えるしね~演奏の方、大変じゃね~の?」
「まあ、ソイツがアレンジのリフとかもう作ってるって言うんで、この曲に関してはソイツに任せればいいかな~と思ってますわ」
「練習やるんでしょ?場所と時間分かったら教えて。 俺昼間じゃないと出来ないけど」
「解ってます、多分土日になると思うけど予定取れたら連絡しますわ」
 さ~~て、馴染のない曲ばっかだな~ 先ずは聴いて憶えるとしようかいな!
 やった順番までは思い出せなかったけど、曲はこれで間違いないっす!

Megadeth - Paranoid
https://www.youtube.com/watch?v=7_7E9YETMHs

The Offspring - The Meaning Of Life(コレなんかメロコアだし~)
https://www.youtube.com/watch?v=keI1BqFS3Kc

Judas Priest - Hell Bent For Leather
https://www.youtube.com/watch?v=mpCfWn5TQkI

Metallica Breadfan
https://www.youtube.com/watch?v=9Z6cVUOhLDw

Metallica - The Prince
https://www.youtube.com/watch?v=n6YXQBshu8Q

Sex Pistols - God Save The Queen
https://www.youtube.com/watch?v=dtUH2YSFlVU

Guns N' Roses - It's So Easy
https://www.youtube.com/watch?v=jFp0xCdsq_U

 練習は計3回やったと記憶している。
 今俺が住んでいる所の近くにある市の勤労青少年施設みたいな所がタダで借りれてそこで練習しました。
 その時初めて知って、こんないい所があったのか~って訳でその後もこの施設は練習の度に活用しましたよ~
 そして本番の日が来ました!
 ライヴは土曜日の14:00スタートで俺等は5バンド中4番目だったんで、実際には15:30位からだったと思う。

 まあ、人が集まる催し物やってる訳で聴く気は無いけどそれなりに人は集まってるのさ。
 唯ね~家族連れとか多い中、爆音でメタルとかやっちゃってもいいのかしらね~~?ww
 とか思いつつも時間だし、やるですよ、遠慮なくね!!
 曲の出来とか全体の雰囲気がパンクっぽく感じたのもあって出で立ちは、メタルとパンクを併せた様なスタイルで行きましたよ。
 ロン毛を逆立ててヒョウ柄のスカーフを巻き~の、ライダースの下はロッキーホラーショウがプリントされた黒tee、下はあちこち破けたブラックジーンズに編み上げの安全靴っすね。
 マイクスタンドは目一杯下げて、大股開きで腰を90度曲げたまま床を見る感じの
 ポジションで歌ってみましたわ!
 そりゃ~良い子の皆はビックリするわな~~ww
 爺っちゃん婆っちゃんも逃げ出すわな~~ww
 でもやってる方としては、あまりにも場違いで面白かったっすよ!
 何か訳分かんない若いのが最前に来て、10人位騒いでるし~
 その連中が全曲終わって下がろうとしたら”アンコ~ル!”とか言い出したんで
「やんねぇよ、バ~カ」
 っつってやったら、余計に盛り上がりやがんの。
 あっさり帰ったけどね~~www
 このライヴはやってる方としては、意外と楽しかったっす!
 やっぱ演るならメタルっすよ!!
 気持ちイイ~~!!

 っつ~訳で次回は小箱だけどフラットバッカーやっちゃいま~す! じゃ!


 第36回 ざけんなよ!!

 ここ何回かのライヴエピソード書いてて思ったんだけど、何かさ~面倒くさかったやつ程印象に残ってるんだね。
 すんなり普通にやったライヴとか記憶が薄かったりしてね~ww
 っつ~訳で今回も面倒なお話しDEATH!
 これは秋口の話し。
 ある日店に1本の電話がかかってきた。
「もしもし、お兄さんですか、KMです」
 このKMってのは、以前アニソンカラオケで盛り上がってた時のメンバーで、元メタルバンドのヴォーカルだったヤツね。
「お~KMどうした?久しぶり~」
「実はですね、今度俺が主催してライヴやるんですけど、お兄さん出て貰えますか?」
「ん~内容を教えて」
「基本的にメタルなんですけど、今メンバー集めてる所なんですよ」
「え?それってウチのバンドで出て欲しいって事じゃないって訳?」
「はい、演奏するメンバーは俺が集めます。曲ごとにメンバーが変わります」
「何それ?なんでそんな面倒くさい事すんの?少なくとも俺歌う時は固定メンバーで
 やれないんなら、その話し乗らねぇよ」
「う~ん、分かりました。そこはなんとかしますから出てくれますか?」
「そ~ねぇ、兎に角メンバー揃ったらもう一回連絡くれる?今の段階じゃ返事出来ねぇわ」
 そう言って俺は電話を切った。
 すると程なくしてK太君から電話が!
「あっお兄さんですか、今KMさんから電話あってライヴやるからギター弾いてくれって言うんですよ~何か嫌だな~と思って一応保留したんですけど・・」
「あ~その電話、俺ん所にもさっき来たぞ。 よく訳の分からん事言ってっからメンバー決まったら再度電話くれって言って切ったんだ」
「あ~~お兄さん所にも行ったんっすか~ どうします??」
「その言い方なんか気になるなぁ。アイツ何かあったのか?」

「そっか~お兄さん知らないですね。KMさん何かおかしくなって精神科通ってるらしいんですよ~ さっきIKさんからも連絡あって俺は断ったって」
「成程ね~そう言う事か~ 病名が分らんから何とも言えんけど、変に刺激しない方がいいかもな。まあ出る事になってもK太君は俺が引っ張るから、又電話あったらすぐ俺に
連絡くれ」
「了解っす!お兄さんが出るんなら僕はOKっすよ」
 そして数日後、KMから電話が来た。
「メンバー決まりました。ギターがK太でベースが弟、ドラムはKSってハードコアバンドのヤツです」
「ふ~ん、KSなら俺も知ってるわ。お前よ~K太本当にOKしたのか?」
「はい、今OK取れたんで大丈夫です」
「分かった、じゃあ俺が歌う時はそのメンバーで固定な!」
「分かりました。練習場所とか時間とか決まったら又連絡します」
 すると程なくしてK太君が店にやって来た。
 しかも弟のU君も一緒で!
「さっきKMから電話あってさ、K太君OKしちゃったの?」
「御免なさい!話してたらKMさん段々喧嘩腰になって来て、巻き舌で怒鳴ったりするから怖くて早く電話切りたいからOKしちゃったんっすよ~」
「あ~~成程、分かったよ。 K太君もU君も俺とやるから大丈夫だ! ドラムはKSだって」
「へえ~よくあの人OKしましたね~ 凄い2バスのドラムセット持ってるんですよね~」
「あ~アイツ鳶職だから金回りいいからな~」
 余談だが、K太君は小・中といじめられっ子だったので、高圧的な態度のヤツに弱いのさ。
 それにしても、困ったもんだな~?
 その後KMから連絡が来て、1回目の練習で例の施設に集まった。
 どうやら歌う人間は3人いて、俺・KM・それとAって言う金髪の兄ちゃんだ。
 そのAは今日は来れないらしく居なかった。

 借りた部屋は1つなんで、まずKMの方から練習やって貰った。
 その間俺等はヒマだったんで、その施設の2階に卓球台があったんで遊びつつ軽~く打ち合わせていた。
 お呼びがかかったんで、それじゃあ音合わせしますかね~~
 俺のチームが演るのは3曲なんで、今日決めちゃえば後は本番でいいか~って感じっす。
「KS君いいねぇ~、この曲だけテンポ早目でもう一回やってみようぜ」
 っとまあ、和気あいあいと練習しておりましたら、いきなりKMがクレームつけてきた。
「K太何でそこスクリーム入れないのよー! KS全然速くなってないんでかー!」
 最初は黙っていたが、さっぱり大人しくならんので流石にキレたぜ!!
「うっせーな! いいから俺等の練習なんだから黙ってろや!」
「だってこいつ等真剣にやってないじゃないですかー!」
「オメェに関係ねぇべよ。コッチは本番までにキッチリ仕上げてくれば文句ねえだろうが」
「俺が主催者なんだから、言う事聞いてくれないと困る!」
「あ~~!?何言ってんだオメェ、あんまり訳分かんねぇ事ばっか言うんならこいつ等連れて帰るぞ!」
「何勝手な事ばっかり言いやがって!やるのかーー!」
「ほ~~、テメェ俺に喧嘩売ってんのか? 面白れぇ、買ってやるわ~ ニヤニャ その代り大の大人が喧嘩売ってんだ、後からテメェの体がどうなっても四の五の
 言ってんじゃねぇぞ。 ・・表出ろや」
「・・・スイマセン、分かりました」
 え~~~!!やんねぇのかよ~~ テンション下がるわ~~
 結局KMはその後一言も喋らず部屋を出て行った。

 お陰で練習もはかどり、これなら後は本番でいいね!って事で終了~~~
 帰り際KMに「後、俺等練習いいから~~」っつって帰りましたとさ!

 そして本番当日!
 場所は今は無き北海道大手のCDショップ玉光堂の貸スタジオAっす。
 貸スタジオっつってもソコソコ広いのよ!
 一応奥がステージみたいになってて、オルスタなら7~80人は入るかな~
 此処はホワイトブレスでブレイク寸前だったTMさん・・じゃないTMレボリューション君がミニライブに来て、大して歌わずにエヴァの話しばっかして帰って行ったと言う由緒あるスタジオでやんす。
 何でも初っ端はKMが1曲演って、その後金髪君が3曲、その後が俺達で3曲演って後は聞いてなかったから分らん!ww
 あのね、このKMってヤツ声は通るし、歌上手いのよ。
 唯、何でもカラオケで喉を壊してハイトーンが出なくなったとかで惜しいヴォーカルではあるんだ。
 っで笑ったってか、呆れたのが金髪君で、コイツ演奏前は散々喋くってた癖に演奏始まったら全く歌わないでやんの! アホか!?
 客はブーブー言い出すし空気悪っ!!
 そりゃそうだよ! チケ代¥500とは言え金払って見に来てるんだもん、そりゃ文句も言うわ!
 っで、最悪な雰囲気の中、俺等の出番だよ!

 土壇場で打ち合わせて曲順を変更した。
 かなり若い連中が多かったんで、曲が始まる前に俺が散々煽って俺の合図でスタートだ!
「ハイ!テメェらまだ全然元気余ってんだろー!?」
 ウォーーー!!
「オラ~イ、じゃあ初っ端から最速でぶっ飛ばすから遅れてんじゃねぇぞーー!」
 ウォーーー!!
「hi!!」
 ハーーイ!!
 この掛け合いがドンドン速くなってキターー!!
「K~S~!!」

The Offspring - The Meaning of Life
https://www.youtube.com/watch?v=avCteSZK-Ec

 よ~し! 掴んだぜ!!
 全員一気に跳ね出した!
 この調子で一気に畳みかけるよ~~!!
 後はMCも無ければアンコールも無いww

Van Halen - Van Halen - Ain't Talkin' 'Bout Love
https://www.youtube.com/watch?v=SuyvT8nFMLY

 そして最後は最速のスラッシュで決めてやったぜぃ!

フラットバッカー/カムフラージュ
https://www.youtube.com/watch?v=uiWh_Ibp4zM

 この曲、オリジナルの30%増し位のスピードでぶっ飛ばしたぜぃ!
 コレは気持ち良かったな~~
 客からアンコールのかかる中、俺達はsee youでサッサとおさらばした。
 後はどうなったかは知らん!!www
 その後はメンバーで俺の店行って打ち上げて帰りましたとサ!

 次回は遂にラストステージっす!コレ以降俺ライヴやってないんだ~ じゃ!


 第37回 戦士の休息

 ノンマルトやってもう3年以上経つんだな~
 そんなある日の事、いつもの様にガソリンアレイに仕事前の朝飯を食いに行くとTAKAがこんな事を言ってた。
「今度ウチに”AZUMI”が来てライヴやるんですよ」
「あ~去年も来た人でしょ!?大阪の人だっけ?」
「あっ憶えてました! それでこの間ノンマスんとこのK太君に前座やらない?ってお願いしたんですけど、聞いてました?」
「いや、それ初耳だわ」
「そうなんっすか、てっきりノンマスがヴォーカルやるのかと思ってたから」
「ん~そりゃ~分らんよ。 Kちゃん自分で歌うかも知れんしね~」
「あ~成程!まあそんな訳なんで、もし話があった時は宜しくお願いしますね」
 そんな話をしていた矢先、開店後K太君がやって来た。
「お兄さん、TAKAさんから何か話し聞きました?」
「あ~”AZUMI”の前座の件かい? どうするんさ?」
「いや~僕去年来た時も見に行ったんですけど、凄い迫力なんですよ~出るんだったらアレに負けない様にしないと~」
「迫力って言ってもアコギ1本で演るんでしょ!?」
「いやいや、凄いんですって!ギターのボディ叩いて太鼓みたいな事するし、兎に角迫力が半端ないんですよ!」
「うん、解るよ。 アドリブのブルースロックとフォークの間みたいな感じなんでしょ?」
「だから演るんだったら音デカくしないと負けちゃいますよ~」
「ん~~そうなのかな~?」
 彼はX JAPANからメタルに入って、メタル一辺倒だから他のジャンルのテイストってのがよく解らないんだよね。
 だから全てメタルに置き換えて考えちゃうんだな~

「それでTAKAさんに、バンドで出ちゃダメなんですか?って聞いたら、それは勘弁してくれって言われちゃったんですよ~」
「まあ、そうだろうね」
「え~~そうなんですか~!フルバンドじゃなきゃ勝てないっすよ~!」
「いやいや、そもそも勝たなくていいんじゃないかな~前座だし~」
「え~~やるんだったら勝ちたいじゃないですかー!」
「まあまあ、他の前座のメンバーも顔ぶれ聞いたら大体察しがつくけど、kちゃんが想像してるのとチョット違うと思うんだな~ シットリと行くか、若しくは前衛的な感じで行くか、どっちかだろうね」
「・・ふ~ん、そうなんだ~」
「それでKちゃんは、何演ろうと思ってたのさ?」
「メタルです」
「ギター1本で?」
「だってアンプでもないと、あの迫力には太刀打ち出来ないですよ~」
「まあ、それはいいや。例えばどの辺の曲を演ろうと思うのさ?」
「え~インペリテリとか、ナイトシアターとか」
「ん~~好きなのは分るんだけど、それは止めといた方がいいんじゃないかな~」
「・・ダメですか。・・じゃあ例えばお兄さんだったらどんなの演りますか?」
「う~ん、そうだな~Kちゃんに分かり易く言うと、White Snakeのラストアルバムみたいな感じかな~」
「バンデンバーグがドブロギター1本で演ったヤツですか~」
「そうだね、俺ならあんなテイストで演るかな~ しかもまんまじゃつまんないからアレンジを変えてみるかな!?」
「例えば?」
「う~んとね~、 Fool for Your Lovingをスイングジャズにアレンジしてみたりとか、ミステリーテッドを軽いタッチのブルースにアレンジするとか・・かな」
「チョット待って下さい、スイングジャズって何ですか?」

「あ~そうね~ チョット待ってよ~・・・・こんなんだよ」

Benny Goodman 「Sing Sing Sing」 1957 ベニー・グッドマン
https://www.youtube.com/watch?v=YsVJuulCmAE

Moonlight Serenade・・・Glenn Mille
https://www.youtube.com/watch?v=JFJl_vJdga4

「あ~成程!何か聞いた事ありますね~ これがスイングジャズですか~」
「まあ、例えばだけどね」
「ん~~その辺のセンスがよく解かんないんですよね~」
「例えばさ~ Fool for Your Lovingだったら、手っ取り早くコードそのまんまでリズムの取り方だけ変えれば、それっぽい感じになるんじゃない?」
 って事で、イントロ部分だけチョイと弾いて見せた訳ですよ。
「あ~~それって”銀~色~の~遥かな道~♪”と同じですね!」
「あ~そうだね!でもよくそんな古い歌知ってるね~」
「合唱コンクールですよ。でも大体分りました!チョット弾いてみるんでお兄さん歌ってみてくれますか?」
 っと言う訳で、ノリとアドリブで演ってみた訳ですよ。
 するとK太君、
「あ~~こう言う感じね~~迫力は無いけど大人ですね~ 後、何か無いですか?」
「俺が演るとしたら、 Soldier Of Fortuneかな~ラストアルバムのまんまでね~」
「カッコイイですね!でも僕無理っすよ」
「何で?何か難しい事やってたっけ?」

「僕、アルペジオとか3フィンガーとか出来ないんですよ」
「??・・えーーー!!あんな難しいリードソロとか弾けるのに~??」
「だってやった事無いですもん。メタルコピーしててもアルペジオとか出て来ないでしょ」
「・・・あ~~確かにね~ ん~その辺はKちゃんの好きに弾けばいいんじゃないの?」
「そうですか?それでお兄さん歌いずらくないですか?」
「う~ん・・??え!何時俺が歌う事になったのよ?? kちゃん弾き語りで演るんじゃないのかい??」
「何言ってるんっすか!そう言う感じなら僕じゃ無理ですよ~ お兄さん、お願いしま~す」
「・・・ハァ~~ ハイハイ、分かったですよ」
 んな訳で前座のステージは2人で出る事になったのでした~
 音合わせ・打ち合わせは早い時間にKちゃんに来て貰って客が来るまでやるって形だったから、結構出来ましたね~
 そして当日、俺等は新参者なので1番目でありますよ~
 本当はアコギの方が雰囲気出るよって言ったんだけど、そこはK太君の拘り? でスティーブ・バイモデルを持っての登場っす~
 セトリは確かこんなだったと思うな~

・ Fool for Your Loving(swing jazz アレンジ)
・Wishing Well (フォークブルース風)
・Mistreated (ブルースで)
・Love Ain't no Stranger (ラストアルバムコピー)
・ Soldier Of Fortune (ラストアルバムコピー)

 一応原曲も貼っとくね~

Whitesnake - Fool For Your Loving
https://www.youtube.com/watch?v=GV3mhuF6W3w

Free - Wishing Well
https://www.youtube.com/watch?v=LLSAGnHNqGc

Deep Purple - Mistreated
https://www.youtube.com/watch?v=JyAZ4oEQkTs

Whitesnake Love Ain 39 t No Stranger unplugged
https://www.youtube.com/watch?v=Dbsi76bdSGE

Whitesnake - Soldier Of Fortune (unplugged)
https://www.youtube.com/watch?v=5PklxyHBU_k

 後、AZUMIさんってこんな方っすよ!

azumi「アズミ・ワールド'95」
https://www.youtube.com/watch?v=B19417zjljI

 この後、打ち上げで彼と一緒に呑んだんだけど、面白い人だったよ(^^)
 この時K太君は先に帰っちゃったんだけどね~
「一緒に歌おう!」っつって、いきなりハクション大魔王歌い出しちゃうんだもんww
 何と彼はこの歌が好きらしく、3番迄知っていたのですww
 あっ後ね、美輪明宏さんの「ヨイトマケの歌」も一緒に歌ったよ。
 確かam3:00位まで騒いでたんじゃなかったかな~

 そして、このライヴが俺のラストライヴになったんだよね~
 この時以来一度もライヴ演ってないんだよね~
 あ~~メタル演りてぇ~~

 って訳で次回はノンマルトを閉めます。 じゃ!


 第38回 HEAVY DAYS

 西暦2000年、21世紀を迎え早1月、俺は悩んでいた。
 ってのも店の経営が段々厳しくなってきていたからだ。
 店を始めた当初から自分で決めていた事があった。
 用意した運転資金が底をついて回らなくなったら、その時は潔く店を畳もうと。
 更に借金してまで続けてもきっと泥沼だと思っていたからだ。
 でもこうして店をやってる事が楽しくてね~中々踏ん切りがつかないんだよ。
 自分の心の中でそう言った葛藤が起き始めた頃と時を同じくして毎日同じ様な夢を見る様になった。
 誰かに殺されて汗だくで目が覚める。
 俺を殺す相手は毎回違うし、殺され方も毎回違う。
 何時も同じなのは、ひどく疲れて目が覚めるって事だ。
 10日位ぶっ続けで見たもんで、気になって調べたら自身が新しい展開を望んでる暗示だって言うじゃない。
 そろそろ潮時なのかなぁって思った訳さ。
 決断したのは3月になって、大家さんに4月いっぱいでやめる旨を話してその日に店の中に貼紙をした。
 そこまでやったら何かスッキリしてね~それ以来夢で殺されなくなった。
 まあ、そう言った情報はすぐ伝わるらしく、暫く足が遠のいてた客もいきなりやって来たりしてね~最後の1月はそれなりに賑わいましたよ。

 最終日の4月30日、最後の大盛況の中一番最後の客は遊音舎って中古レコード屋の旦那でam3:00頃ふら~っと現れて、いつものマイヤーズを2盃飲んでさ、この人シャイだから素直にお疲れさんとか言えなくて、遠回しに自分の商売も大変なんだみたいな話をする訳よ。
「もう解かったよ、アリガトね」
 って言うと、やっと最後になって
「ここはいい店だった」
 って言って帰ろうとしたんで
「このマイヤーズ持ってってよ、半分位しか無いけどさ」
 ってボトルを渡して彼は帰って行った。
 am5:00ノンマルト終了。
 看板の明りを消して、1人カウンターに座って「お疲れ様でした!」
 そう言ってロックのジャックダニエルで自分に乾杯して打ち上げ終了。
 これからどんな生き方して行くのかなんて、全く分らなかったけど、もうライヴとかやれねぇかも知んねぇなぁ~とは漠然と思ってた。
 現在に至るも、今までやって来た仕事の中で一番楽しかった!
 死ぬまでにもう一回カウンターに立ってみたいかな~?
 今でも悲喜こもごも色々あったけど、いい思い出です(^-^)


 最終回 メタルはわからん!

 さ~て、今日も仕事だ!
 クソ面白くもねぇ1日が又始まるぜ~
 カーコンポには浜田麻里のINCLINATION1が絶えずヘビロテでかかっている。
 俺はこの人の声が好きなんだ。
・・・あれから何度か仕事を変えた。
 雇用する側にとって俺は使いずらい人間らしい。
 俺としては大人しくしているつもりなのだが、色んな理由で厄介者になってしまう様だ。
 そして組織から弾かれる。
 まあ、大方の理由は分っている。
 俺自身が人として譲れない所があって、そこに思いっきりヒットするヤツを見ると許せんのだ。
 それは何かって?
 自分の立場を使って弱い者イジメをするヤツ。
 それと、上っ面は良い事ばっか言いやがる癖に、実はテメェの利益しか考えないヤツ。
 まあね、世の中にはそこら辺に五万と居るんだろうけど、自分の仲間や守るべき者がそんな輩にやられてたりすると、黙っていられないんだよな~
 そんで口を開くと牙を剥いちゃうんだわさ。
 でもこの性格ばっかりは直らねぇ。
 お陰でカミサン・子供には迷惑のかけっぱなしなんだよな~
 未だにうだつの上がらないまま、カミサンに共働きを強いてるのも申し訳ない限りです。

 そんな出来そこないのサラリーマン生活を送りつつ今は2014年11月下旬。
 もう何か月も前の事だが、TVで見たCMの一瞬に移った絵がず~~~っと気になっていた。
 GOOGLEのCMに一瞬映った赤黒のゴスロリ衣装を着た3人の女の子だ。
 ふっと又思い出してしまったんで、正体を探るべくチョイとググってみた。
 すると結構あっさりと出て来ちゃったww
 彼女達の名前はBABYMETAL、何でも今海外で人気爆発の日本人のアイドルグループだと言うんだが、全く知らんかった。
 でもそんなに人気があるんならツベで見られるんじゃないの?
 早速検索してみれば・・・お~~!!幾らでも出て来るわ!
 先ずは一番上のから見てみようかね!・・・それが「ギミチョコ」だった。
 何だこの音楽?? メタルか? 何かマッドカプセルっぽい気がするけど?
 それよりも何よりも両脇でダンスを踊る2人の娘に目が行く。
 特に左の娘(由結ちゃん)幾つなんだ?メッチャ上手いな、ダンス。
 そしてそのままじ~~っと見ていて最後の件でその娘のカモーンのポーズをした瞬間の眼差しにやられました。
 っで、その後もう3回見たんだけど、その感想は・・・ヤバイかも知んねぇ!
 それが運の尽きだったww
 その晩からツベにUPされてる動画を片っ端から見捲った。
 幾ら見ても続きが絶えないんで、毎日帰って見るのが何よりの楽しみだった。
 完全に嵌った!
 そしたら12月9か10日頃だったよな~、今思えばO2のファンカムがドサッとUPしてきたんだよ!
 その中でも俺を掴んで離さなかったのが「THE ONE」と書かれたタイトルの動画だ。
 何もかもが全てカッケェ~~~!! ヤベェ~~~!!
 俺もこの曲のスクリーム、生で叫びてぇ~~~!!
 およそ2か月後、にこ動に移るまで毎日ず~~~っと1日最低3回は見ないと寝れなかった。

 その頃になると、それぞれの名前とか、さくら学院から派生したダンスメタルユニットだとか、今年は武道館もやって世界ツアーに行ったとか色々分って来た。
 っで、アルバムが出ていると言う事が分り、早速CD屋に見に行く。
 その時あったのが今思えば初回限定盤さ!
 でもその時はそんな事とも知らず、買わずに帰ってしまった(アホ!)
 帰って調べたらそりゃ~ヤバイってんで、すぐ買いに行ったが後の祭り・・無かったよ。
 なので通常版なのです。
 それから俺のカーコンポは現在に至るまでず~~~~~~っとベビメタがENDLESSでかかりっぱなしなのです。
 この辺からっすよ! 拍車がかかったのは!
 先ずはアマゾンで武道館のデロを購入したですよ!
 まあ~~見たね!!
 いいだけ見たね!!
 そしてこのデロを観た為に俺はメイトへまっしぐらだったのよ。
 RED NIGHTのヘドバンギャーからIDZの例の件だよ!!
 俺はこの件を見た瞬間にそれまで自分の中でアイドルとして最高の存在だったキャンディーズをあっさりと超えたのさ!
 心のリミッター限定解除の瞬間だ!!
 もうそうなったら歯止めは効かねぇ!とことん行ってやるぜ~~!!
 っですぐさまメイトの手続きさ~ね。
 そして、その瞬間KAZZ01-METALが誕生した訳っすよ。

 それからは、もう出てるデロは片っ端から買って観ましたね!あ~~~観ましたね!!
 そうするとさ~~自分の中で色々見解を持ったり、心配な事があったりでさ~
 でもコレって何処に訴えればいいんだ!?
 ブログとかやらなきゃいかんのかな~~??
 とか思ってた矢先、いつもの様にツベを漁ろうとポチった所、失敗して変な所押しちゃったら、・・ん? BABYMETALの楽園って書いてる? でも何か妙にハデで怪しい。
 調子に乗ってどっかポチったら、後からとんでもない請求来たりするんじゃねぇのか?
 そん時は閉じた。
 2日後又間違って開いちゃった!
 今度は慌てて閉じようとしたら、更に間違って本スレポチっちゃったんだな~ww
 そしたら出て来たのは・・・コレ見た事有るわ、電車男のヤツだ。
 実はその以前に2チャンを覗きに行った事があったんだけど、何か嫌で見るのも止めたのさ。
 そのスレってヤツがど~も常識を弁えないヤツラの無法地帯みたいな感じがしてね~
 ここにも出て来たっと思って閉じようと思ったら、・・何だコレ?
 読んでみたら大爆笑~~!!
 それが小石蹴り部のメロ部長のネタだったのよ。
 俺最初はそんな事知らんから、きっとプロのライターに頼んで作って貰ってるんだと思ったんだよ、マジで。
 その後多額の請求もこなかったんで、それから良く部長のネタをROMる様になった。
 っで次第にスレの内容も読む様になっていった。
 その内画面を良く見たら○○部って書いたアイコンに気付く。
 そこには「小石蹴り部」の名前も!
 そこで初めて部活スレの存在に気付く。
 でも自分が参加するのは、何か嫌だった。

 でもその内機会があったら「小石蹴り部」に自分の考えた物語を投稿してみたいかな~とか思っていたらば、ある日「メタル学院」っつ~新しい部活スレが始まるんだと言う。
・・メタル・・・久々に聞いた響きだった。
 忘れてたわ~これでも俺メタルバンドのヴォーカルやってたんだよ~
 っで、チョイと覗いて見た訳さ!
 ほ~~本当にこれから始まるんだね~~
 どうせ入り込むんなら、1から始められる所の方が良くね!
 そうすりゃ~皆ドンパ(同期)じゃ~ん!とか思って、その時産まれて初めてこのスレってモンに参加しちまったが運の尽き!www
 現在はこんな事になっておりますよ~~
 でもさ~~俺はハードロックの時代の人間なもんでさ~此処に来てみたはいいが、メタルの事さっぱり分らんかったって事に気付いて、思い知らされた!
 ここに集って来た皆に随分教えて頂きましたよ。
 特にあたたた先生には、スレってもんがどう言うモノなのかまで教えて頂きました。
 ここで改めて、これまでメタル学院に集われた皆様に感謝致します。
 色々教えて頂き本当に有難う御座いましたm(__ __)m
 これからも、よろしくお願いしますね~~(*´ω`*)/
 今でもやっぱ、メタルはよ~わからん!

 っと言う訳で、長きに渡ってお付き合い頂きました「メタルはわからん!」は、今回をもって終了です。
 自分でもこんなに長く続けられるとは、思わなかったっす!
 これまでお付き合い頂きました皆様、誠に有難う御座いました。
 日を改めまして、2・3話程番外編を書いてみようと思いますので、その節は宜しければ又読んでやって下さい。
                  じゃ!!